2月20日日曜日 ミロ美術館でのやりとり

  久しぶりに雲一つない快晴。

 

  9:30に起きて朝食後、マーガリン?と桃ジャムのサンドイッチを作り、薄めエスプレッソを水筒に入れて、11時前fundacion Miroに向けて出発。Urquinaona(Linia I)のホーム上にある地下鉄駅案内板が電車の進行方向と逆に表示しているのがわかりにくい。電車の中では、日曜なので親子連れが多く、また色々な人が我々をじろじろみた。薫曰く、「ブスの子ほど人のことをよく見る。」

 

  また、しんどい石段をふうふう喘ぎながら登り、さらに車のびゅんびゅん通って歩きにくい坂道をゆくとMiroの美術館がある。なんだかおそろしく混んでいると思ったら、何とここは日曜でもお金をとるのだった。しかも1ptsも値引きしていない。けしからん。1100ptsMiroの作品は少しで、あとは他の人が展示しているのに高い。Japanese2人連れ、Japones3人組みあり。皆知ったような知らぬような顔をして通り過ぎる。

 

  入口を過ぎて右手奥の土産コーナー(図書室?)を覗いていると、後ろから誰かが近寄ってきた。振り向くとToni Vidalであった。また、小さな声でとめどなくカタラン語を話す。囲りもうるさいので、よく聞き出すために2人して耳を傾ける。まるで村の老人の話に聞き入る調査員のようだ。ほとんど聞こえずわからなかったが、「semana….Barcelona…….」と聞こえたので、たぶん我々が2/28Barcelonaを発つので来週あたり来ればどうか、と言っているようだった。彼は胸ポケットから手帳を取り出し、カレンダーの頁を出して、いつがいいかと聞いたようだった。やっとのことlibreという単語を思い出し、「Usted libre?」というと、242526と指した。24でいいか、と我々が言い、薫が「manana o tarde?」と聞いたら、1718と紙に書いた。17時で決まり。「Adios,hasta luego」と言って別れるときは、いつも無表情なのがふにぃ・・・と笑ったようだった。それにしても、よくもまあ、こんなに混んでいる中で目ざとく一度会っただけの我々をよく見つけたものだ。虫の知らせでもあったのだろうか。もしかしたら、超能力者なのかもしれない。

 

  Miroの絵については、若い時のを見ると怪奇的なところがあるので意外だった。年取ってからのは宇宙に遊ぶへたくそな虫けらという気がするが。くるみにはこの虫けらは虫歯の虫のように見える。また、パステル画が面白く見えた。1階右手の部屋では、現代美術の展覧会、左手奥ではカタルーニャの芸術、2階ではToni Vidal、あちらこちらでちらほらMiroがあるという具合。現代美術のところでは、うすい油紙でできた人の抜け殻のようなものが男女向き合って吊るされていた。観念に偏りすぎて肉体のないおばけのようなものも多く、いずこも同じという気がした。Toni Vidalの写真展は結構な客の入りで、面白がって見ている人も多く、日本とは少し写真展の客層が違うなと思った。まあ、他の展示もあるのだが。相変わらずToniは来てくれた知人と小声で話をしていた。2階屋上からはMiroの彫刻を前景にBarcelonaの市街が見渡せた。日なたのベンチでサンドイッチとコーヒーの食事をした。相変わらず犬を連れた散歩者が多い。でも、日本と違うのは西洋の犬は(もちろん飼い犬だが)食べ物を持っていても滅多に近寄ってこないところだ。人間と一緒に住んでいるからしつけが厳しいのだろうか。それに、たいていはシェパードが多く、これを筆頭に大きな犬か、チンやチワワのような小さな犬かである。雑種はほとんど見られない。日本のポチのようなのはいない。だいたいが西洋においては犬を飼うということ自体、金持ち趣味のようで、深田祐介の本に「イギリスでは犬を飼わないと一人前に扱われない」とあったのを考え合わせると、スペインも他の西洋先進諸国の真似をしているように思える。まずそこいらへんから仲間入りをしようというわけか。昔の陶器やさらにはシェパードの絵なぞ1つもなく、たいていは耳の垂れた茶色い犬なのだから、シェパードは土着の犬ではない。あの、耳の垂れた茶色い犬はいなくなったのかしら。サッカーシャツ(くるみの分)を買うためにEl Corteに歩いて向かう。ランブラスは人で混んでいるのにEl CortePreciadosも休みであった。これから日曜の午後2時過ぎは動かぬようにしよう。

 

  Apartamentosに戻る。とても疲れたので一休みしてから、ポトフー残りとオレンジを食べる。胃がしんどかったり身体が疲れたりしたとき、ポトフーのようなあっさりした汁物は身に染み渡る気がする。塩を加えたので、よい加減になっていた。なにしろうらぶれていたので、ぼーっとしているうちに5時になった。(実は話していたかもしれない。)

 

  早めに夕食をとってゆっくりしたいので、支度にかかる。シャンピニョン残りでシャンピニョンソースを作る。シャンピニョンに対して①トマトが少し多かったのと、煮過ぎて汁気がなくなったので、②Vinoを少し多く加えてしまったのと、③パスタの割に塩気を強くしたのとで全体のバランスが崩れてしまった。少しいつものより酸味が強い。やはり分量にはほぼ従った方がいいようだと反省。小麦粉があるのでキャベツとともにお好み焼きにする。肉はこのあいだのかたまり肉を薄く切って、くるみが牛丼にしようと玉ねぎと煮たが、間違えてソースを3滴入れてしまったので面白味の醤油とともに、けったいなものになってしまった。これを使った。日が弱いのとフライパンが焦げつきやすいため大変だったが、ソースでごまかして食べたら結構食べられた。うまくできなかったが、美味しい気がした。また、これに昨夜のCrema de alcachofasを食べ、オレンジ1個を半分ずつにして終わった。薫は洗い物とソーセージとキャベルのサラダ作り。くるみは床の掃除とたくさん溜まってしまった洗濯物を。二人ともテーブルに着いたのが10時少し前。今日は結構早く片付いた、と満足げ。薫はパスタの訳、くるみはこれから風呂に入り、できればヒターノの本を訳して寝るつもり。