マタスの主人と再会 2月16日水曜日

  薫の言いつけで、くるみ、パンを買いにゆく。時9:30。パン屋ではいつもの3人娘が売り子になっていた。くるみがパンを頼んでいる最中、そのうちの一人がもう一人の頭に紙吹雪を散らしたので、彼女の髪についてしまったりした。店に足を踏み込んだ途端のいい匂いの正体は、揚げドーナツであった。今日は珍しく朝から菓子パン類も豊富だ。あまり美味しそうな匂いをさせているのでいくら?と聞き、「200」と言った。そうしたら売り子嬢は「200pts?200g?」と聞いた。もちろん200g。長太パン1本とドーナツの袋を抱えて帰る。

 

  あいかわらず受付のおっさんは仕事に忙しそうである。CCLとジャム付きトーストを3枚と1杯ずつ食し、ドーナツは途中であ食べるためにいくつか持って出る。まずmetroBarcelonataMATASへゆく。久しぶりなので、少し気恥ずかしい思いでベルを押し、待っていると、すぐにドアが開いて、いつもと同じようにおっさんが顔を出した。一瞬驚いた風だったが、すぐに「久しぶり、元気か」というように握手を求めた。薫が写真を撮らせて欲しいというと、おっさんは言われたとおりにライティングデスクに横になって腰掛け、毅然とした顔つきで構えた。薫が仲々シャッターを押さないので、ぎこちない仕草で、机の上にある小物をようもないのにいじったりしていた。もう何枚か撮るのかと思っていたのに、客が出て来たりして、少し忙しそうな様子なので、別れを言って部屋を出た。別れ際に、Hotel(の住み心地)はどうか、とか、またバルセロナで会いたいと言った。思いの外、我々の訪問を喜んでいたように思った。

 

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  あちこちの店を覗き、パエージャ用の鍋を見る。以前見たときはあちらこちらに安く置いていたように思ったのだが、よく見ると意外に正統派パエージャ鍋は少ない。前見た緑色の把手のは30cm(4人位)220pts,オレンジ色で内側テフロン加工のは665pts~。前者は安くてよいが、把手のつき方が少し安直で、取れる恐れあり。後者はデザインに難。周囲が斜めになっていないので、使い勝手が良くなさそうだし。どうせだから、壊れたら嫌だから、いいのを買って帰ろうということに話が決まり、結局何も買わずにシャンパン屋でロサードだけ飲んで立ち去る。薫は何故か通りの写真を一生懸命パチリパチリ撮っていたと思ったら、ヒターノの人たちを撮っていたそうな。でも近くで撮って、取り囲まれたら怖いので、ずいぶんと遠くから撮っていたらしい。今日はヒターノの女性達は皆毛皮のコートを着て、時計やブレスの隠れ売りをしていた。いつもはうすいブラウスにカーディガン、汚れた前掛けじめなのに、どうしたのだろうか。もしかしたら、我々が案ずるより彼女達は裕福なのではなかろうか。

 

  シウダデラ動物園は次回に回すことにして、パエージャ鍋を買いに、El Corte方面へ向かう。途中の金物屋でも見たが、960ptsと高くて、把手の留めもしっかりしてテフロン加工のがあったが、把手他デザインはあまりよくなくやめた。たまたま見つけた額屋では、絵の額ばかりだったが、タイルを持っていけば、作ってくれそうでもあった。次回に。ここの兄ちゃんは愛想が悪そうでいて、最後ににかっと笑ったりして、どっちなんだかわからない。とにかく他の店では皆「ない」と断られたので、1つだけでも目当てができてよかった。Galerias Preciadosでは只今Rebajas中で、パエージャ鍋はマタス付近より安くなっていた。たった2つしかない、たぶんステンレス製の立派な鍋を2つとも買う。11250ptsと高し。お姉ちゃんへの土産、予想外に高くなってしまったけど、仕方ない。ここの女店員には「同じ他のはないか」と聞いたのだけれど、調べ方も実に乱暴で、鍋をばんばんがちゃがちゃ言わせながら積み上げるので見ている方がハラハラした。どうりでいろいろなものが壊れる訳だ。ただでさえ壊れやすいのに。あと、お玉を見たがいいのなく、ナイフとフォーク()を薫分1セット購入。あのワイン開けはやはりなかった。シャンパン屋のグラスが悔しいことに192ptsで売っていた。我々が買ったのが1100ptsだから5つで40pts(92)違うわけだ。残念。

 

  今度から買い物はEl Corteでなく、Preciadosに限る。この間、DiagonalEl Corteのインド展を見たので、序でにここのJapan展をのぞいてみた。ショーケースで見た限りでは、どうも二流の土産物的子供騙ししか来ていないようだったが、意外なことに流行っているようだった。皆2つか3つの袋を提げて帰ってゆく。品物は着物(風、と言いたいが)、ポット、水筒、おもちゃ、うちわ、ハンカチ、スカーフ、化粧箱、他ステレオテレビ等の電化製品。ふうん。一度帰りかけたが、トニービダルへの色紙とペンを買い忘れたので、El Corteにて買う。もう2時を過ぎているのでどの店も店閉まいしていた。アパートに戻り、カレーと野菜炒めを温め直してパンと一緒に食べる。

 

  夕方、papeleriaに紙を買いに行った帰りに受付のジョルディの写真を撮り、パコデルシアのカセットのことも聞く。どれが1番好きか。他にはいつものように女の子二人がいて、1人は上下を白でまとめたパンツ姿にブーツという出で立ち、顔は細面で色の濃い目の化粧をしている。彼女は英語で何かとくるみに話しかけてきた。英語が達者なのは、スイスに3ヶ月、イギリスに1年いたため、という。この間料理用の単語の意味を教えてくれたのも彼女だったらしい。もう一人は金髪をぼさぼさの感じに垂らした少し男勝りの感じのする女の子。薫が二度目にカメラを向けたときは逃げてしまった。写真は苦手らしい。フラメンコについて知り得たことは以下の通り。

  • パコデルシアの曲の中では、entre dos aguas がよし。
  • ロス・チチョスは結構良い。
  • カマロンはあまり好かない。
  • 名を忘れたが、パコデルシアの赤い表紙のがよかった。という、漠然としたものだった。テープ4つ(うち1つ中身なし)を貸してくれて、どれか好きなのをあげるというので、礼を言って別れた。

 

  しかし部屋に帰って聞いてみると、どれも録音が不明瞭で、中には風呂場で宴会しているようなのもあり、まいった。ところどころテープが伸びていたり、きゅるきゅるっとなったりしてひやひや。どうもエルサラコでなくても、Barで買うようなテープは皆おかしいようだ。そしてそれが当たり前であるようなのでびっくりする。

夕食はsopa de ajoと牛肉のピメントン漬、残りの野菜炒め。

  • sopa de ajo はピメントン少々多くぴりぴりと辛し。味はまずまず。
  • 牛肉のピメントン漬は、シンプルな味。もう少しひねりたいものだ。やはり辛し。
  • 野菜炒め、昼に同じ。

後、Toni Vidal宛の色紙にかかる。

 

白い厚手の画用紙のような紙を二つに折り、見開きにして書いた。

Vinoを飲み過ぎたため、プレゼントの鶴も折れず、二人ともあえなくダウン。

 

 

追記〉

昼間、薫が受付のおっさんの写真を撮るために、階下へ降りていくと、おっさんがヌード写真入りの雑誌をめくっていたそうな。おっさんがバツが悪かったかもしれないが、薫もせっかくおっさんの年の割りに毅然としたところを撮ろうとしていたので、残念がっていた。再度挑戦するつもり。

Maria Cristina駅界隈 2月15日火曜日

  8:30に目覚ましが鳴ったが、も少し寝てていいよ、という薫の言葉で9:30まで寝過ごした。本日は課題はEl Corteまで行って、MONOPOLのワイン開けを買うことと、額探し。CCLとジャム付きトーストの朝食を手早く済ませ、MetroにてMaria Cristinaへ。すぐに地下台所用品売場へゆき、ワインあけを探したが、見当たらず。女店員に聞けども、ないと言う。しまった。売れたか、という思いで、それでもまだ諦めきれずに立ちすくんでいた。今月か来月かわからぬが、また入るらしいが。せっかく遠くまで来たのに残念だ。

 

  India展を見て帰ることにする。思いがけず広い展示場にたくさんの品物を置いている。よく見ると、インドだけでなくタイのものも混じっている。木彫り、スカーフ、小物入(石でできたもの、木でできたものなど)、絨毯、タピストリー、クッション、皮バッグetc。値段高し。しかしスカーフなど女客で賑わい、よく売れているようである。値段はだいたい日本と同じか、物により少し安め。しかし、モロッコでのことを考え、現地の感覚になって考えると、El Corteの中間搾取が多いように思え、ついばからしくなってやめてしまう。クッションカバーに気に入ったものあり、940pts。木彫りは他のものに比べて安し。結局、タイの壁掛けになる布で、紺地に渋い色調で説法する人と、それを恭々しく聞く怪物の書かれたものを450ptsで買う。黒と金色の細い縞の地のものと迷ったがこちらにした。薫曰く、加藤くんが喜びそうなものだそうな。絵はただのプリントで生地も安手だが、その割に印刷がしっかりできている。図案も仲々凝っていて、これは面白くて安い、といって買ったというわけ。当初の目的のうちの1つを果たせぬまま、この土産を持って家路につく。

 

  朝アパートを出て来たときは、それでも曇りで雨が降っていなかったのだが、この時、かすかにぽつりぽつりと小雨が降り出した。外気は肌寒く、手袋をしている人もちらりほらり。昨日あんなに晴れていたのに、またぶり返したようだ。帰り乍ら額屋を探したが、Diagonalは高い物屋さん通りあるいは趣味の店が多く、見つからなかった。寒さと雨と空腹で早足になる薫を追いかけるようにしてアパートに着く。昼食は昨日の残りのカレーとごはん。ごはんは、昨日の要領にて薫が茹でた。少し違うのは米の量(2)と水から茹でたこと。米に対し湯が多かったので、昨日ようにもち米風に粘らずに、さらっと仕上がった。少し芯があったが、相変わらずクローブが頑張っているカレーであった。

 

  昼食後は少しゆっくりしたのち、それぞれ翻訳作業にとりかかる。気がつくと夕方になっていたので、二人で白ビノを買いにゆく。相変わらず酒屋のおばさんは近眼のすごいメガネをかけて、しかしだんだんとお得意さんに対するような態度で、注文を聞く。Vino grande(55/L blanco)×4botela(45/L tinto)×3/4を買う。大瓶の方は洗わずに注いでいたとかで薫が少し気にしていた。でもおばさん、すごい近眼だからなあ。ボトルの方はまた割り切れない数字(453/4だと1余る)のため、1をプラスしたので悪いと思ったのか、口一杯までVinoを注ぎ込んであった。コルクがしまらないっちゅうに。

  雨が激しくなったが、ついでに郵便局近くのPapeleriaにゆき、トニービダル用の折り紙にする包装紙2枚を購入。しかし俳句用の色紙にするものは見当たらず。雨の中、肩をすぼませながらアパートに戻ると、ジョルディが親切にもドアを開けてくれた。¡Gracias! 夕食の時間なので仕度にかかる。薫は前の日記を見ながらHuero de a la flamencaを、くるみは残りもの整理のため、鶏肉と野菜のスープを作る。いかに作りからの相違点他覚え書。

 

Huero de a la flamenca

  • じゃがいもがなく玉ねぎを入れた。
  • 太肉と玉ねぎはむちゃくちゃ炒めた。
  • ピメントンを入れた。
  • 前回の反省点である汁気をもっと多くすることと、卵を入れた後蒸して、目玉焼きにすることは成功。着実にくるみを踏み台にする薫であった。

鳥と野菜の中華風スープ〉

なぜ、いつも中華風ばかりなのかというと、中華の料理法、あるいは味つけは何でもかんでも調和させてしまうから、残り物整理にもってこいなのである。ということで最近、大きな残り物(カリフラワー、鶏肉)が多いので、今日は卵も入れてとろみのスープだ。

  1. 鶏肉は一口大に切り、塩コショウ、Vino、醤油、コーンスターチづけに。そのあと油で炒める。
  2. 薄切りにんにく、斜め切りセロリ、短冊切り人参、千切りキャベツを強火で炒め、塩をし、そのあとで、薄切り玉ねぎを加え、カリフラワーを入れて醤油、塩コショウ、水、コーンスターチを混ぜたものをわあーっと絡め、先に炒めた鶏肉を入れて混ぜて、できあがり。

 

ごめんなさい。頭ぼけて間違えました。以上はその後にやった野菜炒めでした。次はほんと。

 

  1. 薄切りの人参を油で炒め、鶏スープを注ぐ。
  2. スープが煮立ったら味つけした鶏肉を入れる。
  3. セロリ(千切り)を加え、その後にカリフラワー(茹でたもの)一口大を入れ、酢・醤油・塩・砂糖・コショウにて調味。
  4. 味が決まったら、かき卵を入れ、コーンスターチでとろみをつけてできあがり。

 

あーあ。かんたん。やんなっちゃう。

 

薫は風呂場で洗濯。Gパンしぼるのを手伝ってくれというので、二人掛かりでしぼりにかかる。薫はあんまり力一杯、一生懸命絞るので、ひきつけを起こした人のようにつっぱったまま、くるみに倒れかかってくるわ、くるみはその薫の姿がおかしいと笑い出してつんのめり風呂場の壁に頭をぶちつけそうになるわで、大騒動のうちにやっとGパン2本がしぼりあがった。なぜこんなに一生懸命絞っているのかと言うと、絞り方がゆるいと床が水浸しになり、水浸しになると床を拭くものが必要で、しかし我々は床を拭くものを持っていないから、ということになる。とにかく無事終わったが、薫はこのために全精力を使い果たして、ベッドに仰向けにひっくり返り、手の筋がつっぱらかって痛いという。あんまり一生懸命やりすぎたので、手のひらの親指の下の部分がおかしくなったらしいのだ。洗濯機のありがたみを思う。

 

  外が寒く、Calefaccionをつけているため、喉が渇いて仕方ない。今回のCCLは今日3回目。着実にコーヒー中毒になりつつある。そろそろ夜も更けて、よその家でも静かになってきた。明日の活動のためにもうそろそろ寝ることにしようか。

 

 

パコ・デ・ルシア マヌエル・デ・ファラを演奏する〉

Cara1

  1. 隣人のダンス
  2. 火の儀式のダンス
  3. 序章と黙劇
  4. ムーア人の織物
  5. 粉挽き職人のダンス

Cara2

  1. ダンス
  2. 舞台
  3. 鬼火のうた
  4. 恐怖のダンス
  5. 粉挽き職人()のダンス

料理とパコデルシアの日々 2月14日月曜日 久し振りに快晴。

  軟こいパンとCCLで朝食。俺はパスタの本、くるみは葉書書きにあたる。大阪、川喜多さん、おねえちゃんの3便。くるみが迷っているので、こっちでさっさと作文した。おねえちゃんのは妻自身で考えた。1時頃、ゴム手袋を買いがてら、郵便局にゆく。受付のおっさんが調べる手間を省いてやるため、「PAR AVION A JAPON,2(ドス)tarjetas,43pts(クアレンタ・イ・トレス ペセタ)」と云ってやった。おっさんは「tarjeta? 86(オチェンタ・イ・セイス)」と云って、切手を4枚よこした。とかくするうちに、くるみはマーケットに行ったが、手袋はなかったらしい。坂下のマーケットまで足を伸ばし、購入。

  部屋に戻り、くるみが昼食の準備。にんにく、塩コショウで味付けしたビフテキ(モスタッサ付け)。玉ねぎと隠元炒め添え。Paellaを作ったときのビーフ・スープ。パンにVoll-Damm 1本。(青く輝く星のラベル)相変わらず肉旨し。どうして肉をビフテキ用に切ってくれるとき、こんなに薄いのかな。あんなに安くて豊富なのになあ。火が通りやすく、手軽だからかなあ。

 

  くるみはGITANOSの本にかかりきりになる。薫は片付け物をしてから一服。そういえば、電話の故障のことをぴしっとしたおっさんに午前中話したところが、昼過ぎ、受付が交換し間違えた、単なるごたごただった、と返事をよこした。台所で修理をしたと言っていたところをみると、一旦点検して、故障がなく受付の責任だとわかったらしい。無愛想にいちゃんと熊のおっさんの時はよく間違い電話があると、くるみがこぼした。

ちょうど今、カレーが煮え。食べ頃にならんとしている。この調理行程のうち、野菜煮込みは昨日くるみがやっておいた。今日はカレー粉、その他香辛料を加えて煮込んだ。およその全貌を記す。

 

  • 材料◆

鶏足2本・手2

トマト()1

人参3

カリフラワー1/8

玉ねぎ3つ

にんにく3片

バター10-15g

セロリ1

ローレル1

クローブ大さじ1

クミン大さじ1

タイム大さじ1/2

ターメリック大さじ1

ナツメグ半径5mmのかたまり

トマト缶カップ1/3

塩コショウ

ピメントン(ピカンテ)大さじ1/2

カレー粉大さじ2

シナモン大さじ1/3

 

  • 作り方◆

香辛料以外の材料は要するに炒めてから煮ればいいが、今回は特に次の点が違う。

  1. 鶏肉と玉ねぎを十分すぎるほど炒めた。玉ねぎなど茶色いものになってしまった。
  2. 香辛料の中にクローブが加わった。それでPueblo Espanolで買ったすり鉢で、皆混ぜながらすりおろした。

 

  味は仲々バランスがとれていて、まずまずの味。米は煮すぎて、(インド式に茹でて、さっとざるであげるつもりが)炊きたてのもち米のようだが、特に難なし。次回はカレー粉なしでやってみよう。今回はクローブが大立役者であることがわかったのが収穫だった。カリフラワーも鳥も玉ねぎもトマトも、みな砕け溶けて、大分形を失っていた。ビールを飲んで食べたせいか、かなり腹がいっぱいになった。気を奮って俺は片付け物と、りんごのシナモン煮にかかり、くるみは洗濯に風呂場にゆく。ひと段落するのは12時を過ぎる模様。今日も1日が終わる。

 

追記〉

FUENTE Y CAUDAL (PACO DE LUCIA)のタイトル訳。

  泉  と   富   パコ デ ルシア

良いタイトルなので覚書しておく。

 

Cara1

  1. Entre dos aguas 水面下 “Rumba”
  2. Aires choqueros ぶつかる大気 “Fandangos de Huelva”
  3. Reflejo de luna  月光の照り “Granaina”
  4. Solera 古い銘醸のヘレス酒 “Bulerias por Solea”

 

Cara2

  1. Fuente y candal 泉と富 “Taranta”
  2. Cepa andaluza アンダルシアの切株 “Buleria”
  3. Los Pinares 松の林 “Tangos”
  4. Plaza de San Juan 聖ファン広場 “Alegrias”

 

Museo Picasso界隈&仮装の女児トリオ  2月13日日曜日 曇り

  9時半起床。誰もが買わない、高くて異常に,やらこい!パンをそそくさと食べて、10時半前に出かける。

 

   Jaime I(ハイメ・ウノ)で降りて、Montcada通りのMuseu textil d’ indumentaria(服飾美術館)にゆく。受付のおっさんは無愛想に、入口は外の階段からと指差した。客少なし。コルセットをはめたような細い腰の貴族女性が来た古めかしい(と映った)ドレスが多く陳列されていた。色が大分褪せているので、見応えがなかった。洋服を着せられたマネキンは首から上がなかった。それがずらりとこちらを向いて並んでいるのがあった。最後の方に来ると、かなり凝ったベルギーの刺繍やらがあり、少し退屈が紛れた。ある部屋は近代に入ってからドレスが飾られ、モナコ王妃が来たという水色地に銀の花びら(セルロイドか何か)をたくさん縫い止めて、表地全部が覆われているのがあった。水鳥が首をすくめたまま、そのまま女性の頭に乗っかったような帽子もあった。その他大きな渦巻きの入ったのやら、大胆なものが多い気がした。中端ころからフランス人やスペイン人の団体が入って来たので、かなり騒々しくなった。

 

  ここを出て、すぐそばのMuseo Picassoに入館。日曜なのでともに無料。この間に続いて、今日は2階を見る。相変わらず、無茶苦茶面白い。見落としていたのは、水着の女性の写真(天然色の)を台紙に貼って、そこに山口瞳みたいな眼鏡の小男を漫画で書き加えたもの。少しスケベっぽく現代風の諧謔があった。前来た時は開いていなかったが、そろそろ観光客が多く出没し出すせいか、Ceramicaを置いた2室を開けていた。ここに、滅法、手の込んだ良い陶器を置いていた。ショーケースの上に、丸い障子窓のようなのがいくつもあき、柔らかい先がCeramicaの上に降りて来ていた。これは別室の陶器を焼く窯を連想させた。見ていると、ますます安東次男の訳した「ピカソの陶器」を読みたくなった。帰ったら是非お茶の水で探してみよう。今日は無料なので、我々のようにあて込んで来ている人も多いようだ。

  その中の子供の一群が館員に注意されても、なおどたばたと走り回り、おしゃべりをするので閉口して日本語で注意した。しかし、余り効き目はなし。2、3度言ってやっと俺だけは避けて走るようになったが。傍のくるみが腹が減ってしんどいというので、写真展を再度覗いてから、Museoを去る。

 

  Montcada通りをPrincesa通りの方に出て、左にしばらく行ったところにあるチューロ屋で、前のようにカスタードクリーム入り揚げドーナツを1つずつ買って、立ち食いして、Leneralitot辺りで食べきってしまった。しかし、まもなくカタルーニャ広場南のCanuda通りにあるプリン屋にふらふらと入ってしまった。縦長のガラスケースに入った数種類のプリンがいつ通っても旨そうに見えるので、思い切って入ったというところもある。ふらふらではなかったかもしれない。ここは細い路地の割に画廊などの小綺麗で品のいい店が並んで、雰囲気のあるところなので、なお気持ちが助長された。一番安い、といっても110ptsもするのだが、プリン2つは注文するつもりで、あと飲み物はボーイに聞いておすすめのChocolate espanolを頼んだ。来てみると、Chocolateは字義どおり、チョコレートを溶かしたようなものが白い陶製のカップに入って出て来て、ナポリで飲んだのを思い出して、しまった、甘いなと思った。プリンはまずまず旨かったが、ともかく値が高すぎる。値ほどではなく、雰囲気料、場所代込みというところ。Chocolateは甘いことは甘いが、見た目より控えてある。シナモンを結構加えてあるところがミソのようだ。Espanolとある由縁。だいぶ散財になったが、気にかかっていたのだから、これで吹っ切れて良いだろう。白い陶製のものの上部にプリンが作ってある大きなのは、180ptsと随分高かった。全体に高めだが、結構客が入っていた。プリンを食べている人はそんなに見なかった。

 

  Galerias Preciadosの日本の脅威展を見るつもりだったが、おそらくFiestaのため休みだった。なぜFiestaだと気づいたかというと、昨日ウサギがやたら売れていて、何か特別の日かなと思っていたところに持って来て、今日は赤ん坊や女優やらに仮装した子供が親に手をひかれて歩いているのを、あちこちで見かけたからだった。

 

  ところで、日本の脅威展を知らせるために、Galariasのショーケースには、日本製のカセットテープやおもちゃ、和食器や和服が陳列されていたが、カセットを除きどれもいい加減な土産物のようなものだったので、唖然とした。

 

  MetroUrquinaona駅辺りに来ると、仮装した3人の少女を見つけた。彼女らは親連れではなく、3人で飛び跳ねるようにして歩いていた。カメラを向けると逃げて撮らせてくれない。そこで隠れながら追いかけて行って、その中の一番べっぴんの女の子がエスカレーターに乗ってちょうど上って来たところを撮った。驚いたような、笑ったような顔をしていた。この子は白っぽいダンサーのような服を着て、目にはシャドーを入れていた。サイドにはパンティのあたりまでスリットが入っていて、その格好で走り回るのだからどうしようもない。随分色気あったなあ。もう一人は赤ん坊の仮装でおしゃぶりをくわえて、そばかすを頬っぺたに書いていた。この子も仲々いい顔だ。

最後の一人は、黒人の混血で色浅黒く、毅然とした顔をしていた。シルクハットにマントという出で立ちで、ショーマンの仮装になっている。皆スタイルもよく似合っていると思った。改札口手前でつかまえて、今度は撮らせてくれる?と聞くと、べっぴんの子が「Jo()?」と言ったので、みんなと指さすと、「Tres(3人だって)」と言いながら、ずらりと横に並んで、驚いたことに慣れた仕草でポーズを撮った。黒人の子はマントをさっと開いて見せた。子供とはいえ、肝が座った奴らだ。彼女らが撮られる気になったのは、傍のおっさんが「撮らせてあげなさい」と言ってくれたためらしい。Alfonso Xで彼女たちも降りたが、どこかで見失ってしまった。

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仮装の娘っ子トリオ in Barcelona

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地下エスカレータから現れた仮装女子


 

  Metroエスカレーターを上ると、また、別の仮装した子供を親たちが囲んで記念撮影やらをしていた。くるみによると、「七五三みたい」。

部屋に帰り、俺はスペイン語とにらめっこをしている間、くるみがシャンピニオン入りスパゲッティを作った。ソースを作りかけてから、スパゲッティが殆どなく、タジャリンしかないことに気づいたらしい。仕様が無い。きしめんのようなタジャりんを使う。せっかくうまくソースを作ったのにと、Cockは嘆いていた。しかし、食べてみると、そう難なく美味しかった。作り方は先述したので略すが、ポイントは豊富なバターと知るべし。

 

  食後はGITANOSPASTAの翻訳作業を続ける。夕方になって、俺だけで、昨日炒めて取っておいた具で、インスタントパエージャを作る。味付けはまともだと感じたが、やはり作り置きのせいかあまりうまくなかった。特に失敗したのは、一緒に米も昨日洗ってしまっていたことだ。水が浸み、ひびが入っていた。これをパエージャに入れると、味が落ちているだけでなく、パラパラと細かく砕けて、味気ないこと甚だしい。マグレブ地方(アフリカ北部)のクスクスに使う粟つぶのようになってしまった。教訓❶米は調理前に水にさらすこと。❷料理材料は極力作り置きをせぬこと。特に勢いを重視するものや、味の微妙なものに作り置きの材料を使ったらてきめんである。夢々避けること。材料が死んでしまう。

がっかりして、なぐさめもあり、量が少なかったこともあって、イカの墨煮を温め直したのと、緑オリーブを食べ、赤vinoを飲む。

墨煮の作り方は前に記したと思うので、簡易にして、Sepiaの解体についてその要所を書く。

  • 作り方◆
  1. 多めのオリーブ油でにんにく、唐辛子(干したの)を炒める。
  2. にんにくが色づいてきたら、Sepiaを入れて炒める。
  3. 軽く炒まったら、白vinoをドボドボと注ぎ、しばらく強火で煮込む。酒臭さが飛んだら、とろ火で煮続けて、墨が自身になじんできたら、食べてよし。

 

  • 解体のポイント◆
  1. 胴体と足に切り分け、Sepiaの足をスカートのように捲り上げるとあるでっぱった口をしっかりつまんでむしり取る。ぐっとつまむと小さな軟骨のようなものをプリッと飛び出して来る。
  2. 胴体の中に、皮1枚隔てて、イカの船(主骨)が入っているので、皮を少しやぶって、それを引っ張り出す。ビニール袋を切る要領で、端をピッと切ってから、取り出せるだけ破れ目を広げる。
  3. 船をとったイカの胴体に1箇所縦に切れ目を入れ、そこから墨袋を取り出し、鍋に入れる段階で、それを破ってから入れる。今回は1杯、墨袋がくっついて破れぬままのがいた。
  4. これでおしまいだが、姿煮の場合は足と胴を切り離さず、胴の切れ目から墨袋をとり、足の間から凸を取って煮ればいい。バラでよければ胴をまたいくつかに切った方が味が染みて美味しいだろう。

 

そのうちに、くたびれて寝てしまったとさ。

 

追記〉

夕食後、何度も(5回か?)間違い電話がかかってきたので、いい加減に腹を立てて、2度受付に文句を言いに行った。2度目に受付のおっさんは部屋に入り電話を見て、こちらは辞書を使いながら事情を伝えた。この体の大きい熊のような頑迷なおっさんは飲み込みが悪かったが、やっとわかったらしく、いろいろいじるふりをした(そうとしか見えない)上で、roto(故障)だと言った。俺がロトかというと、いやロトじゃない。ゥロトだと2度目は巻き舌で発音してみせよった。それで一応明日Senor(元締め)に伝えることにしておさまる。くるみ曰く、スペインでは考えられる故障という故障が次から次へと起こる。

寒波到来、イカ食う日々 2月12日土曜日

   目覚めたら11時近くであった。窓を開けたら雪が降り積もっていた。パンもミルクもないので朝食ができず、まず、市場に食料の仕込みにゆく。時間遅いためか市場はすごい混雑。珍しく雪が降ったり寒波が到来したため、皆、台風に備えるように蓄えを買い出しに来たのかもしれない。その為、市場はいつもの土曜日よりもなお一層の活気を呈しており、(どちらが生かわからぬが)品物も豊富で新鮮のようだった。今週もまたPaellaとカレーをやるつもりで材料を書いてきた。イカについては、くるみの前のおばさんのマネをして、550/kgの墨抜き骨抜きセピアを1つと600/kgの墨つき小つぶを300gもらった。どうもスペインではただのイカ、でも用途によっていろいろ違う種類を少しずつ買っているようだ。結構、いか1つとえび3つとかいう買い方をしている人は多いし、店の人も全然それを嫌がっていない。その方法にならったというわけ。

 

  鳥1羽は今回はよく調査してから買った。出口近くの鳥屋が異常に混んでいるので吊るされた鳥を見たら、結構新鮮な色をしていた。どう違うかというと、腹のあたりの皮の色が白っぽく少し透けて見える感じなのだ。鳥の皮は黄色いもん、と決めつけていたので、少し衝撃だった。ぐるりと一回りして鳥屋を覗くと、そう大差はないのだが、色が微妙に違い、皮の張りも少し違うように思った。前買った198/kgの鳥屋は今日も客が少なかったので敬遠。先に書いた長い列のできた鳥屋で待ったが、どうも皆ここではウサギをたくさん買っているようなのでやめた。どうしたわけか、ここでもその他の店でも今日はウサギがよく売れているようだ。うなぎの日のように、ウサギの日というのがあるのだろうか。いつ見ても気味悪くなるようなウサギの皮が剥けたのを皆、無表情に買ってゆくのだから、気が知れない。

  どこが気持ち悪いかというと、人間のようなびっくりした黒い眼をしているのと、手足をつっぱった形、むかれて赤くなってツルッとした肉がなんとも不気味なのだ。またそれをハサミでちょきちょきちょんぎるわけだから、本当に見ていられない。薫が見ていたところによると、内臓をとったウサギ(肝臓はついている)は、股のところから真っ二つにハサミでちょんぎられ、最後に目玉のところをクリッと押すと、ころりと眼が飛び出すという仕組みとか。まるで誰かの推理小説に出てくるような情景ではないか。

 

  結局、綺麗なお姉さんのいる、比較的大きく、コンスタントに流行っている店で鳥を買うことにした。

 

ここは225/kgと少々高いが、8つに切って内臓・頭・足は別にビニール袋に入れてくれ、親切だった。1羽で385pts。いつもが370前後だからたいして変わりがないのが意外だった。この他玉ねぎ・人参・マッシュルーム・他を買い、帰りにオリーブを買い、卵を買った。そういえば牛肉屋でも卵屋でも薫がカメラを向けたら店の人はたいそう喜んだ。特に、牛肉屋では日頃無表情で肉を切っている体格のいいおっさんと、つんとした感じの顔がかわいいおばさんが二人とも急に笑顔を見せて人懐っこくなったのは意外だった。ちょうど、おばさんは朝食か昼食か、パンをかじっているところで、それを狙ったのだが、カメラを向けているとわかると食べるのをやめて、「やーね」というように手で叩くマネをした。おっさんはなんのカメラか、というように首を突き出し、自分も日本製のを持っているように「Nikon」と言った。そしてそれは香港で50000ptsで買ったということだった。くるみが「F-2(dos)?」と聞いたら、少し考えていたがどもりながら、「S,si」と相槌を打った。

   卵屋ではまだ生きている小さいカタツムリをとった。店の若主人は「fotoより食べないか?」としきりに勧めたが、「日本では食べない」と答えた。

  スーパーに行って牛乳や米を買ってのち、パン屋に行ったら、何とパンは1本も残っていなかった。今日は全部売り切れでこれしか残っていないとパイやら菓子パンを指差した。お腹の足しにならないし高いので、袋入り食パンを買うが、これも高し。78pts。いつものパンの半分くらいで倍の値段だ。みんな買い溜めしていると見える。宿に戻り、買っていたりんごのパイとCCL、ソーセージサラダのわずかな残り。それにキャベツのスープを取り、遅い昼食を終える。

 

    外はまた雪がちらちらと降って来ていた。そういえば、市場に雪だるまが作ってあった。頭には黒い帽子(毛糸)を被り、首に襟巻きをして、目はレモン、鼻は人参、口はピーマン()だったかもしれない。日本のは目は炭団、鼻やまゆげは墨でできているのだから、やっぱり顔の構造上の違いは雪だるまにも表れると見える。

 

  風邪をひいたらしく、しきりに鼻が詰まる。Cadaquesよりマシだが、ここBarcelonaも相当冷え込んでいるようだ、皆ちょっと雪が降っただけなのに、大層にスキー用ブーツを履き、ダウンジャケットを羽織って歩いている。しばらくしてから薫がビノ瓶を持って、ビノを買いにゆくと酒屋は休みだったと言って帰って来た。雪が降ったから早く店じまいしたのかもしれない。受付の無愛想にいちゃんにシャンピニョンを煮るのには赤か白か、と聞いたらしい。そしたら兄ちゃんは考えて「白」と言った後、ゆっくり考えながら、「Do you like wine?」と聞いたということだった.

 

  夕飯の時間が近いので、Paellaの準備を始める。鳥はやっぱりすごく新鮮で、身が透き通っているようだ。くるみが骨を外しにかかる。胸肉をつまみ上げたとき、白い膜のかかった黒い玉(直径2cmくらい)がくっついていたので包丁でさっと払い落とすと、ころりんと転がって、うさぎの黒い目玉が逆さになってくるみを見た。ぎぇ~~~~!ぎゃ~~~~!気持ち悪いよう!ひぃ~~~~!!と言ってひきつっていたら、薫がわははと笑って慰めてくれ、目玉をつまんでぽいと捨てた。「目玉って意外と柔らかいんだな」しかし、薫は鳥の目玉だと思っていたらしかった。しばらくショックでくるみは鳥の解体に取り掛かれなかった。やっぱり、どうしてもウサギだけは食べたくない。絶対に!

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Paella

材料;鶏肉200g/トマト小2/玉ねぎ中2/イカ70g/ムール300g/

  牛肉100g/牛骨大1/ローレル中1/セロリ茎2/ピーマン赤1個・青1/2/

  ピメントン(ピカンテ)/塩コショー/鳥スープ/白ワイン/レモン/サフラン/オリーブ油/

  ニンニク/米2合

これを2回分に分けて作る。

作り方の違い;

  1. 牛肉は強火で炒めてから骨と一緒に、ローレル・セロリ・みじん切りにして茶色になるまで炒めた玉ねぎ、と共に煮る。あとからピーマンを加え、薄く塩コショーする。
  2. いつもは油ニンニク・鳥玉ねぎ・トマト米の順で材料を炒め、スープで煮るが、今回は材料、特に玉ねぎと鶏肉をよく炒めて茶色にするということを重点にするため、あとからトマトを加えて更に炒め、皿に取り出しておき、鶏肉とニンニクはまた新たな油でよく炒めた。
  3. イカはよく味が出るように少し長く煮た。その汁も鳥スープと一緒に入れた。ムールを煮た汁も然り。
  4. ①の牛肉は汁を入れて煮込み出したところから加えた。
  5. サフランをすりつぶして混ぜた。

以上によって、今までに比べ、驚くほど黄色いパエージャが出来上がった。味もかなり濃厚で、バランスも良い。ムールも殻から身を外したので食べやすく、実質本位のパエージャとなった。よく煮込んだピーマンの果たす役割も大きいことを知った。でも何と言っても大きいのは、⑤のサフランを潰したことにあるようだ。

  手でつぶすにしても包丁で刻むにしても限界があり、すりこぎでするように粉にはならない。粉にならないと、どうしても味や香りが全体にゆきわたりにくいというわけだ。なるほど。野菜をよく炒めた効果はどこにあるのかよくわからぬが、牛肉を別鍋で煮たのはよかった。Saritaで出て来た牛肉のような(それに近い)味がしたようだ。あとはオーブンを使って上部の水気を飛ばせば、もうかなり本格派となるだろう。

  2回に分けてパエージャを作ろうとおもっていたが、1回目でお腹がいっぱいになってしまったので明日の昼食にすることにした。食後、薫はイカの墨煮を作った。初めてイカの解体をした薫はひゃあひゃあと一人で奇声をあげながら、軟体動物をいじっていた。

 

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セピアというイカども

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自分の墨の中にいるイカ


  ああ、そうそう。夕食の支度をしているとき、母親から電話があった。バルセロナで雪が降ったことを知っていた。テレビのニュースで映ったらしい。それと、手紙の返事が来ないので何かあったのか、どうしたのかと心配していたらしい。一応,3512時に成田に着くことを告げ、手紙も出したことを言ったら少し安心したようだった。電波の関係か、今日も母親の声は泣いているように聞こえた。薫ちゃんは?と聞くので、今お料理してると言ったら、少し笑って、こんばんはだけでもいいから出して、と言った。どうも大分気が弱くなっている気配。電話があった後に、「親が心配性だとこっちが心配になる」と言ったら、薫に「育ててもらったくせに」と言われた。

  今、薫はガーガー得意の音をさせながらお風呂に入っています。外の雪は残念乍ら止んだ模様。薫の予定の雪のサグラダファミリアは中止となりました。残念でした。またどうぞ。おやすみなさい。

ホテルでの防犯で考えたこと【番外編】

  書き留めておくつもりだったので、

 

ホテル住まいでの用心について〉~室外の例えば避難路については省く~

  1. 鍵は挿したままにしておく(もちろんロックした上で)。これで外から鍵を入れてこじ開けることを防ぎ、場合によってはドアが揺れると鍵飾りが音を立てる。
  2. 簡易椅子の背を向けてドアから少し離して置いておく。万が一ドアを開けて入ってくるときも、ドアが椅子を押して抵抗もあり、音もする。
  3. 最重要貴重品はベッドのスプリングの下か、枕の下に敷いておく。これで置き引きは防げよう。(その他、荷物はまとめておくことは言うに及ばず)
  4. ドア以外に忍び込む余地があるかどうかを確認し、あれば、極力shutするようにする。グラナダの安宿では窓にうんと安いベルギー硬貨をはさんで、開かぬようにして寝る。あくる日、うっかり忘れたままにしてきたが・・・

 

TOURIST INFORMATIONについて〉

ここはSevillaのように極めて不親切なところを除けば、要求次第でかなり多様な情報、パンフレット類を得ることができる。これは意外に気づかなかった。時によっては、下手な案内所より優れたBookを入手できる。それには、どんな種類の情報を置いている可能性があるかを知ることが肝心だ。それはおよそ次の通り。

  • 地図(各種名所記載)
  • 簡単な案内パンフレット(10数頁)
  • ホテル・リスト
  • 時刻表(国内の詳細のもの)
  • 厚い案内書(10頁を超える)
  • 地区、或いは要素別(宗教・買物・芸術)パンフレット
  • ポスター(どうも何も言わぬと出来の悪いのから渡すようだ)
  • どれとはっきり示すこと。

文章の入ったものは、出来れば、読める国語のを頼むこと。

まず、日本語は大名所でもなければないので、英語になるだろう。

寒風すき荒ぶ漁師町 カダケスCadaques 2月11日金曜日

  仲々快適な寝心地ではあった。その原因は、シーツも毛布カバーにある。洗濯仕立ての 

匂いがして、のりがピンと効いているのが、いつもアパートの毛玉のざらざらとついたシーツやクレープ地のように細かい縦じわのいったホステルシーツに寝ている我々にとって気持ちよかったのだろう。ベッドも簡易に見える割には、マットがしっかりと固いので腰の落ち込みが思いの外、少ない。まあとにかく暖房も効いていたし、温かく寝られたわけだ。

 

  朝は早起きしようと思っていたが、830分に目覚めた。朝の空気が透明なうちに、なんといっても、ここCadaquesのシンボルの方な教会を撮るため。今日は天気がよく空も晴れわたっている。昨日と違って陽も出ているので少しだけ暖かい。しかし、日陰になると風も冷たく、恐ろしく寒い。この小さな半島の中だけでも位置によって随分温度差があるのではないかと思わせる。入り江から見て左手の道を散歩した。しかし、どうもこちらは傾斜も少なく、教会を撮ろうにもクレーンが邪魔して思うように絵にならぬ。トンネルになった道を入れて教会の写真を1枚だけ撮った。仕方ないので、右手の道を少し行き、レンズを覗いたが、仲々これも思うようにならず。この道は横に岩が切り立っていて、日蔭になっている上、寒く強い風が吹きまくるので、縮み上がるほどの寒さだ。くるみは風に顎をやられた。(帰ったら寒さでボツボツの蕁麻疹になってかゆかった、寒冷蕁麻疹) 

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Cadaques カダケスの教会と入江寸景

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カダケス遠景




 

  多分ここいらで一番大きなcaféに入って朝食をとる。昨日からこの店には漁師か何か知らんが、暇そうなおっさん達がコーヒーも飲まずに中でひなたぼっこをしているのを見ていたので入ったわけだ。飲み物を提供するカウンターはそのひなたぼっこの席の奥手にあり、薄暗くて、思いの外、活気のないおっさんが1人で陰気にやっていた。CCLとドーナツをもらう。CCLはコーヒーの酸味が強くミルクが少ないのでちょっと参った。今考えると、インスタントコーヒーのような、やけに変わった味だった。我々が飲んでいる最中、端の方でCCLにブランデーの入ったものを飲んでいた人がそのコップを指さしておっさんに何か文句をつけていた。おっさんは、それを取り上げ、矯めつ眇めつしたのち、カウンターの中に下げて、それから牛乳の瓶を持ち上げて、その客に「これだけど」というかんじで振って見せた。どうも「ミルクが悪くなっているんじゃないか」ということらしかった。この店ではcaféは例のエスプレッソの機械で作り、ミルクはsimagoのようにタンクで温めている。瓶のミルクは大丈夫でも、この中で長時間温められすぎたミルクは蛋白質が固まってしまったり、少し変質することもあるのかもしれないと思った。

  あとで薫に話すと、「あんまり良心的な店とちがうな」と言った。CCLはやたら高くて150pts。ドーナツ30pts。この店には写真(大きく引き伸ばしたもの)が何故か飾ってあり、どれも仲々よく撮れていた。Gitanoが住むような貧民部落の写真があったので、Cadaquesかと聞くと、おっさんはとんでもない、というように、「No!No!」と言ってBarcelonaだと答えた。

 

  Hostalに戻って一休み。ちゃっかりCalefaccionは切ってあって少し冷える。けちんぼやなあ。11時過ぎ、ここを出るつもりで階下へ行くと、おばちゃんはいず、ここの息子らしい。丸い顔にひげを生やした柔和そうな青年が近寄ってきた。暖炉の前では、少し意地の悪そうな痩せたおっさんが本を読んでおり、めがねの奥からこちらをちらっと見て、さかんに犬の名を読んでいた。犬はここでもシェパードの大きいやつで、青年にさかんにじゃれついていた。棚の上に魚の絵のついた楕円の皿を見つけて、薫が「あ、これ、あの陶器屋で売ってたなあ」といい、よく見ると、仲々よくできていたので、ここを出てからまた昨日の陶器屋へゆく。

 

  店は真っ暗だったが、ドアは開いていた。おっさんがちょっと顔を出し、女の子に変わった。Hostal MARINAに置いてあるのと同じ皿を見つけ、他の同じもう1枚と見比べて選ぶ。だいたい魚の形・顔・色など似たりよったりだが、あごの形の良い方を選ぶと、それには少しヒビが入っていた。それを指差して、問題ないかと聞くと、「popular」だという。やっぱり、スペインではトレドの陶器屋のおっさんのいうように、少々のヒビや割れを気にしないのだろうか。このあと、値段を値切ろうとしたが、何せ融通の効かぬこのお姉ちゃんなので、(たぶん傷がついているから値切ろうとしたのだと思ったんだろう)頑として譲らない。どうせ買うんだし、ここでは値引きの習慣がないようなので、妥協して正価で買う。飛行機で持って帰るから、と言っても、ただ紙で包んだだけでよこすので、横に積んであった段ボール箱にて周りを覆ってもらう。これもまた一苦労。

 

  Restrante Saritaの開く1時まで間があるので、Barに入ろうかとも思ったが、せっかく来たのだからと寒中散歩をすることにした。入り江から見て教会の左手奥の小高いところに登ってみる。ここからは教会を含む町全体と入り江がよく見渡せる。気になるクレーンもあまり目立ちにくい。何枚かか写真を撮った。この丘にのぼる途中、塀の上にいくつも大壺を置いた家の写真を撮ったが、ここからもまたその家の花を植えた大壺がいくつも見渡せた。道にはほとんど人が歩いておらず、大きな犬やら猫やらが歩き回っているだけであった。

 

  1時近くなので、Saritaにくり込む。昨日来たので慣れたか、おばさんはどうぞどうぞと手招きして愛想良い。Menu del dia2つ。今日はEnsalada Catalana Paellaという献立。Ensalada Catalama1°platoだからといって、侮ってはいけない。ハム3種・卵・オリーブ他野菜各種は新鮮で彩りも鮮やか。飾りつけも綺麗で、ボリュームもある。絵では、ハムが小さくなってしまったが、本当はもっと大きかった。ピメントン(ピカンテ)漬のハモンセラーノが美味。これは良い土産になりそう。ドレッシングはついていないが、酢とオリーブ油をかけて自分で調合して食す。飲み物はVinoを飲むとだるくなるのでagua mineraleを頼むと1リットル入りの大瓶がどーんと来た。昨日の教訓を生かして今日は旨そうなパンに手をつけず。しばらくしてPaellaより奥行きのある味をしている。材料は、目に見えるものだけ言えば、イカ、タコの足、ムール貝、はさみつきの海老、豚肉、牛肉、鶏肉、きのこ(seta 黒色)、ピーマン(赤・青)、レモン、グリンピース。たぶんこの他に肉を煮るときの香辛料があるかもしれない。サフランの香りは全く感じられなかった。しかし塩だけでなく、醤油も使ったような味がしているのはどこに原因があるのか。骨つき肉とは別の薄切りの牛肉には別に煮込んだような薄味がついていた。それにできあがったパエージャの上に茶色いものが乗っかっていて、これも良い味をしていたが、どうもよく炒めて煮込んだ玉ねぎらしかった。米の色その他全体に茶色く色づいているのは肉の煮汁のためか。肉を煮るときにはどんなものを入れて煮ているのか。またあとで、ピーマンのゲップが何回もあがってきたところを見るとピーマンも標準以上に多く入っていたらしく、それもかなり柔らかくなっているところを見ると十分煮込んであるらしい。肉は3種も入っていて、どれも柔らかく旨い。たこが入っているのもアイディアだ。はさみつき海老の肉はカニと海老の合いの子のような味をしていて割と美味しい。今までとは違った種類のパエージャを食べた感じで、旨いチャーハン、旨い五目めしのようでもあった。仲々やるな。

 

  一生懸命食べていると、おばさんが“¿Bueno?” と聞いたので、”Si, me gusta”と答えた。これで結構腹が膨れた上、Flan(これは自家製だが、たぶんインスタントだろう)を食べて、終わった。食後のコーヒーでも飲んでバスが来るまでの時間、ゆっくりしようと思ったが、ここではコーヒーの類はやっていないという。Postreを見てもそうだが、ここは純粋に料理を売る店で、デザートやコーヒーなどには力点を置いていないのかもしれない。薫が調理場の写真を撮らせてくれというと、「どうぞ」と答えてくれて中を見せてくれたが、中で調理をしている大柄なおっさんはゴツく見える割に感じ良い人だった。あまり熱心に撮っているので、おっさんは少し照れ、おばさんも恥ずかしそうに「muy pequeno」と言った。「pequeno,pero bueno」と言った。二人ともすごく喜んでいるようだった。ここの住所を、というと、おばさんはそそくさと引き出しからカードを取り出し渡しながら、いつ去るのか?と聞いた。くるみが「hoy」と答えるとひどくガッカリしたように、「寒いわね」と言った。これからも何回も来てもらえると思っていたらしかった。別れの挨拶をして店を出る。

 

  そういえば、この店の出口近くの壁にも魚の絵のついた飾り皿があったが、2匹の魚が泡を出して泳いでいる様子が結構よく描かれたものだった。店の外側の写真を取り、少しぶらついて、バスの停留所にゆくと、もうバスが来ていた。もうすでに最前列は陣取られていたので、後ろの方の席に別々に座を占める。

 

  今日は晴れている割に景色が白く霞んで見える。バスのガラス窓が汚れているせいもあるが。期待の写真は1枚しか撮らず。途中、バスが後続車のためにスピードを落として道を開けてやると、その車がブーブーとクラクションを鳴らしてお礼を言っているような感じなので、スペインの田舎ではまだ人心が廃れていないなと思ったりもした。昨日見た格好の良い電信柱は右のイラストのようなデザインである。軸はもうちょい細めかな。仲々すっきりとして、風景の邪魔にならない形をしていると、薫は大層気に入っていた。確か、これは数年前薫が本で見た電柱のデザイン(フランスかアメリ)だということだった。とうもろこしをたくさん乾かしている家など(少し離れた金網の中にもたくさんあった)ある畑の中の道を行くうちに、figuerasの駅前に着いた。

 

  まず列車の時間を確認したのちDaliの美術館へ。大したことに、あちこちにMuseuへの方向指示がある。それをたどって行くと、間違えずにMuseu Daliにたどり着けるというわけ。我々もそれに頼ってMuseuに着いた。聞きしに勝るけったいさだった。白い建物の上部にいくつもの彫刻が張り付いているのはともかく、大きなタイヤをいくつも積み重ねたてっぺんにやはり白い彫刻が座っていたりする。入場料は100ptsだった。台の上の大きなレンズから覗くと、女の人の顔に見える今の様子や、天井画、白い魚4尾に支えられたベッド他、けったいなものばかりで、まるでサーカス小屋の雰囲気だ。またよく見ると、中にはエロチックなものも結構あり、密かにというか、かなりスケベな人柄なのではないかと窺わせた。薫によると、「思ったより絵が下手」ということで、奇抜さで勝負しているのだろうか。少し下品でもある。しかし、仲々商売人であるのは、あちこちに金を投入しないと見えない仕掛けをいくつか作り、思いの外安い入場料の埋め合わせをしているようだ。

  1階の絵画のみの展示室にはCadaques の絵があった。ちょうど薫が撮ったのと同じアングルで描いており、下の方に頭に壺を乗せた女性が二人歩いている。点数が多い上、どれもどぎついので、少々疲れてMuseuを出る。書き忘れたが、ここの館員はどの人も皆制服をぴちっと着込み、Daliに似たようなスペイン人にしては少し抜け目のなさそうなおっさんばかりだった。これら館員の人選にも気を配っているのかなあ。そしてまた彼らがよく気がつき、入るとき、ドアボーイのようにささっと歩み寄って来てドアを開けてくれるなぞ、まるでMuseuにあるまじき待遇であるのも、商売上手と繋がっているようでおかしい。

 

  ここを出た後、町中を少し散歩。レコード屋に入ってカセットテープを見たが、女店員の話ではFlamencoの有名な歌い手はCamelon他二人の歌手だったが、どの人も顔が気に入らず、やめた。カタルーニャでは土臭いフラメンコが流行らないのかなあ。それから陶器を置いている店をいくつか見たが、どれもこれといった取り柄なし。Cadaquesのしけた陶器屋(ここはあまり売れないので陶器の他に洗剤やら水コーラを売っている)にもよくあった、目玉のぐりぐりと大きい金魚が悪趣味に描かれた皿はどこに行ってもあったが。あれ、ほんとに売れてるのかな。欲しくないな。

 

  電車の時間まで駅前のBarにて時間を潰す。一歩踏み込んだ途端、たばこのもうもうとした煙と酒くさい匂いが鼻をついた。くるみCCL、薫Conac(Soberano)。駅にて切符を買ったら675と高い。Talgoだからだ。電車を遅らせてExpresoにして2人分386pts戻してもらう。出発の19:55まで駅舎内にて待つ。胡散臭そうなおっちゃんとか待ち合わせの青年たちとかたくさんの人々がたむろしていた。胡散臭そうなおっちゃんとはモスグリーンのベッチンジャケットを着た少し顔の赤い目のとろりとした男で、我々の真近にうろうろと寄ってきたので警戒したが、我々より前のTalgo特急に乗ったようだった。

 

  予定通り19:55に列車は発車。コンパートメントを2人で占領。持ってきたバナナとりんごの残りを平らげる。検札員の言った10:30より13分早くBarcelona Pg.Gに到着。Metroに乗り、急ぎ足にてアパートに戻る。ドアを開けると、ジョルディがトニー・ビダルからの封書を差し出した。写真展の招待状(案内)だった。ミロ美術館での初日だった。部屋は出た時と変わっていず、もちろんのこと火事で丸焦げにもなっていなかった。よかった。冷蔵庫に残ったものでspagetti carbonaraを作り、薫は足りないと言って、aglio olio もやって食べた。くるみはきゃべつとベーコン、人参、玉ねぎ、にんにく、トマトソース少々でスープを作った。この後、薫の耳をほじほじしてあげたら、ガーガーといびきをかいて寝てしまった。もう風呂に入る元気もないので寝てしまうことにした。おしまい。