バルセロナ近郊の奇観 monstratt モンセラット1月28日金曜日

Esta manana, yo comprador este(dos) billetes.

Yo paquedo mil pesetas y una peseta. Pero

 

  疲れていたので2度ほど起きたが、結局8時半まで寝過ごした。薫はパン屋にパン買いに、くるみはコーヒーの用意をして待つ。朝食を済ませた後、弁当用のサンドイッチ作り。今日はMONTSERRATにゆくためだ。初めて   という形のパンを買ってみたが、仲々美味しそうである。思ったより大きくて112pts7つ買ったが、あまり大きいので3つにソーセージサラダを、2つにハンバーグを挟んだ。水筒にはエスプレッソを薄くしたものを入れる。どうもこの水筒にはこの方がよさそうだ。

 

 仕度を終えてアパートを出たのが10時頃。MetroUrquenaonaにて乗り換え、Pl.Espanaにゆく。ここから地下道を少し歩くと、Montserrat行きの列車が出ているFerroearriles Cercaniasの駅がある。切符売り場にてbilleteを購入。窓口脇のガラスにMontserrat行往復切符の値段が出ており、aeroも含めて468ptsとあった。「Dos billetes por favor」と言って買い、1000ptsを出し、釣りをもらおうと思ったら、あと1ptsないかというので1pts渡した。ここへ薫が来て、「これ割引料金かなあ」というので、二人で「¿precio service?」と聞いたら、駅員が黙って切符にあった値段を示すだけであった。まだ釣りをもらっていない気がして、くるみは立ちすくんでいたが、駅員はさっさと他のことをし始めたので、いぶかしがりながらも「あれー?もらったかなあ」と首をかしげて脇へどいた。薫が「¿fini?」と聞いたら、そうだという仕草をしたので電車の時間も迫っていることだし、急いで階段を下り、列車に乗り込んだ。

 

 席についてから、一生懸命思い出そうとしても、釣りをもらう場面になると何故だか不確かな記憶となってしまう。くるみが不審に思っているうちに発車してしまった。Billete1486pts,2枚で936pts。くるみが払ったのが、1000pts1枚と1ptsだから、釣りは65pts50pts銀貨1枚と5pts銀貨が3枚くる筈で、それだけ(4)の硬貨を掴んで財布に入れることは何かの記憶を残すものだし。と考えて、サイフの中を見たら、50pts銀貨1枚と25pts銀貨2枚、5pts数枚あった。数としては合うが、とまた考えて、一緒に入れてあった昨日のスーパーのレシートを見たら、釣りが181ptsとあった。(81502551pts) 薫が今朝パン屋で払ったのは100pts札+25ptsだから(釣り3pts)50ptsは2つなければならないはず。やっぱりもらってなかったーと思い当たったくるみはひどくがっかりした。釣りをもらっていない、という言葉が思い当たらなかったとしても、金勘定をしているときに他のことを考えたのがいけなかったのだ。5ptsが基準のスペインの金銭単位に少しは慣れてもよさそうなものだけど、時として1桁間違えたり、戸惑ったりすることが今だにある。特に、今日は一段とぼーっとしていたし、やっぱり金勘定は2人して注意していないといけないのだ!と薫に愚痴をこぼしたりしていた。

 

 列車は左右に揺れながらどんどんmonstrratに向かっていた。途中で面白い橋を見つけて、薫がくるみに教えた。写真を撮ろうとしたが、窓が開かずに撮れなかった。この橋のすぐ向こうにも、もう1つ不思議な橋があった。船が通りやすいように橋がかちどき橋の開きかけたような形になっており中央に門があって、人々は階段を上って橋を渡るのだった。GaudiGuel Colonialは看板があったが、当の建物は奥まっていて見えず。ところどころ例のあばら家と草の茎で領分を区切った畑が見え、薫が、「特異やなあ」と叫んだ他は、日本の郊外と変わらぬしようもない風景が続いていた。それがMonstrratの写真で見たような奇妙なもりもり岩が見えてき出したのは、ごく接近してからであった。

 

 Monstrratという文字の入った駅は2つあったが、後の方のAERI DE MONSTRRATで降りた。ホームから数十段の階段を下ると、すぐそこにAEREOの駅があった。少し待ち、ケーブルカーが来たので、八角形をしていて非常にちいこい。こんなんで大丈夫なんだろうか、と思う間も無く、がががという音とともにケーブルは滑り出した。我々は前面の、開いた窓から景色を見ていたのだが、これがすごい。ロープはいったん少し下へさがって、AEREOと書いた橋の上を通過すると、今度は急に山の上に向かってどんどん急上昇していくのだ。みるみるうちに地面や畑が遠ざかり、前上には遠くのもりもり岩に立つ塔に向けて伸びるロープが細く太くゆるみを持ってかなりの角度で這い上がっている。このちっちゃな車体といい、この高度といい、危なげなところ満載で、かなりのスリルをもたらしてくれる。薫は「ひゃあひゃあ」と奇声を上げながら、写真機の音を盛んにさせていた。

 

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宙吊りケーブルカーでモンセラットに向かう

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モンセラットの到着風景


 もりもり岩で終点かと思ったら、まだその先にロープは続いており、ここを通過するときは急勾配に車体がぶつかるのではないかと思わせるほどすれすれであった。終点の駅が前方に見え、ケーブルカーはがっくんと車体を間の木板にこすり合わせながらやっと止まった。駅を出て細い道を歩き階段を上ると、急に舗装された道路と大きな建物が並ぶMonstrratの街に出た。すでに着いていた西洋人観光客らが所在なさ気にこじんまりした小さい広場のベンチ等に腰掛けていたが、レストランはシーズンオフの為、休みなのか扉が閉まって積み重ねられた椅子が見えるだけだった。

 まず、有名なもりもり岩を見上げ、眺めてのち、Museuと思って建物に入っていった。黒く色をつけたガラスドアーを押した途端、暗闇に様々な色のろうそくがちらちらと燃えているのを見、ぎょっとした。ここはどうも教会らしい。くるみには傘立てにしか思えぬ段の上に黄緑、黄色、赤、青のセロハンかガラスでくるまれた太いろうそくの短いのや長いのやらが、いっせいに燃えているのだった。前で手を合わせて拝んでいるおばさん2名。薫は注意を受けないうちに、「しーっ」とくるみに言ってパチリ。次のところは何故だか黒々としたマリアとマリアに抱かれたイエスの像が、仏教的雰囲気を以て飾られていた。SILENCEというランプが点滅しているのは、これからミサが始まる為らしかった。もうすでに多勢の人々が長椅子に腰を下ろして待っているところだった。さらに奥の方へ歩いてゆくと、キリストの弟子をローマ風に描き、金と黒で装飾した壁のある階段があり、細い廊下の突き当たりから数段の階段が見えた。

 

 薫が先に上ってゆくと、驚いた顔をして慌てて戻って来た。声をひそめていうには、「まいったよ、ここ上がって行ったら、みんなが拝んでるところに出ちゃったよ」どうしようと二人で立ちすくんでいるときに、アメリカの団体客が来て、我々を追い越してどんどん階段を上って行った。我々も後からついて上る。段の上には、黒いマリアとその子イエスがガラスケースの中に奉られてあった。マリアは何か手にボールのようなものを持ち、そのボールがガラスケースの中からはみ出しているのが奇妙であった。左下を見ると、たくさんの人々がいたが、今度は構わずに他の人々のように真正面に行って、じーっと見ることができた。

 ここを抜けた、ちょうど真後ろにある部屋のステンドグラスは色どりも鮮やかに、かなり手の込んだもののようであった。教会を出て、広場脇の塀に腰掛けて弁当の時間。今日初めて買ってみた12ptsのパンは旨し。このパンは皮が美味しい。食パンより粘り気があるので、中に入れるものは野菜サラダのように、歯ごたえあるものの方が合う。くるみ1つ、薫3つ。コーヒーも温かく、まずまず。食後の腹ごなしに山に続く石段を上っていくと、だんだんと人気のない山の中。蛇がいないからいいね、とか、熊が出たらどうしよう、とか冗談混じりで話をしていたら、急にそばの草むらで動物のがさがさする音がした。「おい!危ないからよせ!」と叫ぶ薫。先へ進もうかどうしようかと迷っている我々の前にふんふんと鼻唄を歌いながら下りて来た2人の女性。薫が英語で頂上はdangerousかと聞くと、no dangerousを繰り返した。この上には、頂上に近い小さな場所があるとのことだった。安心した二人は更に上っていくことにした。

 

 彼女はスペイン語を話していたが、英語もかなり達者なところを見ると、どうも南アメリカの人らしい。服装や顔つきなどでそういう気がするだけだが。とにかくどんどん上っていくと、コンクリートの階段は時々岩場になったりするが、かなり急な勾配で上に向かっている。手すりのない石段でつまずきながらいくと、少しだけひらけた場所があった。ここから見ても、かのもりもり岩は奇妙な格好をしている。「横を向いた人の顔のようだ」と薫が言った岩が大きくそびえていた。なんでこんな変な格好をした山ができたのか。相当土に粘りがあるんだね。我々は頂上を目指して更に進んだが、急に下りになったかと思うと、キャンプの焚き木をしたらしき跡のある(木立に囲まれた)平地があり、そこが行き止まりのようであった。やっぱりあんなもりもりのてっぺんには上がれないんだ。そりゃそうやな。と勝手に納得したらしい薫が、今度は先頭に立って坂道を下っていった。帰りには口笛なぞ吹きながら、熊に怯えたことなどすっかり忘れてもっと上に向かう電車(登山電車)があったが、我々の切符ではカバーしていないので、15:20のロープウェイに乗る。(今までケーブルカーと書いてきたが、実はロープウェイというのであった。)

 

 

他の客たちはひとつ前ので帰ってしまったらしく、乗客は我々だけであった。また前面ガラスに張り付いてスリルを楽しむ。列車は10分程待ってから来た。往きに見た面白い形の橋はうまく撮れたかわからない。バルセロナの駅に着き、窓口に行ってひげのお兄さんにくるみがたどたどしいスペイン語で釣りのことを説明した。なんとかわかってもらえたが、明日の朝またここに来なければ返してもらえないのだという。たぶん担当が違うためだろう。呆然とした様子で立っていると、担当時間を終えたお兄さんが表に回ってきて、もう一度説明してくれた。Mi casa esta lejos.もう一度来るとお金がかかるのだ。歩いてアパートに帰る。

 

 途中薫が「喉が渇いた。コーラ飲みたい。」と言ったが、外で飲むと高いので我慢した。家に着くなり、cervezaを開けてぐいとあおった。夕飯は残りのハンバーグサンド半分ずつ、薫cerveza更に1本、くるみはミルク。その後、牛ステーキ半枚ずつ。ニンニク、バター炒め、レモン・パセリ、醤油かけ。薫はパンを食べすぎ、おまけに喉が渇きすぎてcervezaや水やらをやたらがぶがぶ飲んだので、腹ぐるじーーーになった。くるみはこの間洗い物、洗濯、入浴。

 

 入浴後、頼んでおいた日記書きにまだ取り掛かっていないのを見たくるみが怒ると、薫もそれを受けて散々の喧嘩になった。薫が自分勝手なことばかりして、くるみに思いやりがなかったため、くるみは怒ったのだったが、薫はつんつんした声を出すな、と言うのだった。しばらく喧嘩。その後、薫、怒って寝る。くるみ抗議にゆく。すったもんだ。の挙句、薫が持ち出した協定案は次のようなものであった。

  1. 調理をした人は、そのときの洗い物をしないでよい。
  2. 調理に携わる比率はおよそ2:1(くるみ:)
  3. 日記書きは主にくるみ、洗濯は代わりばんこ、その他は薫が釣り合いをとってやる。

疲れた薫は眠り、くるみもスペイン語の辞書を少し読んでから就寝。