11月21日 ヴァレンシアのレストランは…

  10:00に支度を済ませ、階下に降りてみると、おっさんはもういなかった。おばさん曰く、12時まで戻らない。それでメモを置いて、あいさつしてRENFEに向かう。おばさんもleft bagageを自ら申し出てくれるなど、いたく親切であった。はっきりと英語をゆったり話す。

  RENFEのBAR(BARCELONA P.G.)では、太いフランクフルトを切ってジュウジュウ焼いたHot dogとCafe con lacheを飲食する。

 

  列車が出る前にhumberg sandとサラミサンドを買って乗り込む。有名なタルゴの2等だが、背を倒した時のみ身体が安定するようだ。テーブルはなし。食事をする台をさす穴が左右にひとつずつあいている。車両の連結部分は厚いゴムのカバーがついていて、非常に安全な仕掛けになっていた。これは初めてである。

 

  今日は起きた時よりずっと疲労が続く。VALENCIAに近づく頃には左前方い緑と朱が鮮やかなオレンジ林が見えた。VALENCIA TERMINOに着く前に街を見て、かなり建物がまちまちの向きを向いているので、およその気配は察した。

 

  着いてみるとやはりごちゃごちゃさが目立つ都会だった。まず真っ黒な手をしたジプシーの子が金をせびりにきた。くるみがはっきりとNOと拒否したらしいのでつきまとわれず。

  Hostelを3〜4軒ばかりあたり、駅より少し離れた場所を探す。絵皿で飾られた家庭的なhostelを800ptsで見つける。ドアに書かれた書式には、1750ptsと書かれてあるが、ずいぶん安くしたものだ。ベッドの端に座ると反対側が持ち上がる安手の鉄骨製だが、MATASほど中央部がへっこみすぎない。シーツも洗濯されている。カーテンは焦げ茶色で太く並みの模様が入り、赤とグレーの太陽が昇っている。これでずいぶんこせこせした印象を拭うことができている。

 

  おばあさんにパエジャのあるレストランのことを聞くと、4〜500ptsで他にいろいろ取ると大変高くつくと言われた。mucho buenoだが、mucho milだという。スペイン人の金銭尺度は我々より厳しい。今日は日曜日で休んでいる店が多いので旨くて安いのを1軒教えてもらった。探すがどうしても見つからず。

 

  立ち食いで新鮮な料理を食わしてくれそうなcafeteria(ほとんど見かけはBar)に入る。白木づくりで、スペイン風の陶製タイルが張り巡らされている明るい店だが、つまみの数が多く、エビや貝、ムールなどは生のまま置いてある。

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  薫はムールを食べようとカウンター中を探し回った挙句、(ムール、ムールと言っても全然通じないので)隅の方に置いて山盛りにされた大きなムール貝たちを見つけた。店員は早速小さい皿に13〜15個位取り分けてくれ、これでいいのかと尋ねるが、薫は生のまま食べさせられると思い、くるみに「おい、このまま食べられるのか!?」と聞く。くるみがどっちにしろ、生でも食べられると思い、「うん」とうなずき、店員にOKを出した。店員がその皿をさっと持ち去り、調理場に歩いていったので、薫はほっとした。

  vinoはbiancoだが、あめ色をしており、結構旨い。白いぶどうと黒いぶどうの絵が描いてあるところを見ると、そのためにあめ色になっているのかなと思う。

  ムールは大きく、身がふっくらと柔らかく、味付けが貝の生臭さを消し、旨味を引き出している。たぶんトマトと塩とワイン、そして決め手はレモンではないかと思う。しごくあっさりした味つけだ。

  その他にはマッシュルームのオリーブ油漬。細かに刻んであり、塩気とにんにくがほどよくきいて、オリーブの味もgood。

  魚の身のフライ。外から見ると、卵焼き(オムレツ)風に見えたが、白身とポテトをすりつぶして混ぜたところにサフランで香りづけし、パセリとにんにくをきかせて揚げたもので、マヨネーズのようなもの(酢はもっと弱い)をつけて食べる。美味。タレはいらないくらい、ほどよい味付け。

  薫は他にサラダサンドを食す。ポテトと白アスパラ、グリンピース等が入っている。

  いかの墨煮は、日本で食べたのと違い、小さいホタルイカみたいなのがにんにくのよくきいた墨の中に泳いでいた。このタレは旨し。ピリッと辛いのはレッドペッパーか。

  vinoは2杯ずつ各4杯飲み、パンも1つ食べて720pts。昨夜とはえらい違いで、実質のある夕食だった。

 

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  帰る途中、焼き栗を買って食べる。こっちの栗は小粒で皮離れがよい。薫が、「天津甘栗は独特なやり方で作ってるって聞いたけど、そうでもないみたい」とつぶやいた。値段も安く(50pts)、愛想もよし。「スペインでは焼き栗売りまで愛想がいい」とまた薫がつぶやいた。