2月22日火曜日 暗い冬の火曜日 魚のスープ決定版なる  

 

 暗い曇り。2月中旬以降、こういう天気が多い。これが冬か。

昨日と同じく10時起床。朝食のパンは食パンの耳で済ました。今日も市場に出かける。心なしか、魚屋も今日は品数が豊富である。昨日は休みとは言っても、仕入れ日だったのかもしれない。夕飯のArroz de Mariseoの為の海老、ムール、イカを買い、香辛料屋にて日本に持ち帰る為の粒コショー、とうがらし、ナツメグを購入。おばさんはちょっとびっくりしていたようだったが、嬉しそうでもあった。

 肉屋のおじさんは薫を見て、「今日はカメラで撮らないのか」と聞いた顔がすでにほころんでいた。帰りがけに盗み撮りしようとしたら、気がついて、肉を切っている時の横顔にシワがたくさん寄っていた。昼食は、シャンピニョンのスパゲティ。薫が手がけた。このスパゲティは何回食べても美味しい。シャンピニョンの香りと歯ごたえにバターとワイン。なかなかの名作だ。日本へ帰って食べられなくなるかと思うと残念だ。バルセロナを離れるのに何が残念かと言ったら、やっぱりくるみは食いしん坊なので、おいしい卵や、新鮮な肉や魚、シャンピニョンや洋梨などの日本では手に入りにくいものと別れることだ。Vino, tambien 洗い物、訳などやっているうちに夕方になり、外は暗く寒そうなので、散歩は中止して、夕食の仕度にかかる。3時頃か、ブランデー入りこコーヒー(よくBarでやっている)を飲んだら、腹が張ってきた。Barでは、ドポドポとBrandyをついでいるが、我々はun pocoにして、ミルクや湯を足した。それでも、効いてしのぶによると、温めたブランデーを飲んでいるように感じるそうだ。コーヒーではなくなる。

くるみが調味したSopa de Pescado をまず食べる。うんと旨し。ほぼ、難がなく、少しpimenton picantが効いているのが特徴になっている。時間はかかったが、これならAGUTの味に匹敵するといえよう。と絶賛したらくるみは喜びを噛み殺して外に出すまいとしているようだった。さて、決定版の作り方。

 

  〈SOPA DE PESCADO

  • 材料◆

サメ形魚の頭・胴体のぶつ切り/うなぎ形魚の頭・胴体のぶつ切り/トマト1(種をとらずにみじん切り)/にんにく1/4/玉ねぎ中半分/パセリー茎/塩胡椒/ピメントン2種/パン薄切り小型6(にんにくつき)/ムール貝4

  • 作り方のポイントと反省◆
  • トマトは皮を剥かずに種もついたままで、よく刻んだものを入れた。そのため、よく、オレンヂ色が出たように思う。AGUTも種のまま煮ていたのではないか。
  • 魚は余り細かく刻まず、かき回さずにとろ火で煮た。深鍋を使って。少量の水で全体が浸るようにしたので、平鍋のときと違って(多く水を入れてしまう)、汁が薄まらずに済んだ。
  • パンは新しいのを使ったので、よく焼き、にんにくを両面にこすりつけて塗った。小6枚に対してにんにく1片半やった。
  • 魚汁をざるでこした後で、塩胡椒、ピメントンで調味した。ピメントン・ピカンテは(がばっと)一振りだったが、結構効いた。胡椒は控えめ、塩も慎重に加えた。
  • 味が決まってから、パンを入れ、潰さぬよう、ほぐした。ムールの煮たのは最後に入れて、一煮立ちさせただけにした。ムールの煮汁は鍋中の味が薄まらぬよう、少なめを入れた。
  • 薫の思うところでは、このSopaは、濃い魚のスープを牛スープが補いながら、にんにくと釣り合ってできている。臭みはパセリが消している。酸っぱ味はトマトが担当している。玉ねぎは甘みで、パンはとろみと香ばしさ(油の)で用いられているようだ。

 

このすぐ後、薫がArroz de Mariscoを作った。二度目の挑戦である。

 

  〈ARROZ DE MARISCO

  • 材料◆

170cc/玉ねぎ中1/パセリ2本の葉のみ/にんにく中3/トマト缶60~70cc/海老140g/イカ180g/ムール貝6個ほど/塩胡椒/オリーブ油

  • 作り方のポイントと反省◆
  • 前のように、海産物を煮ておいて、野菜と米を炒め、これを煮汁で炊きこみ、具(海産物)を放り込んで調味して仕上がり。というコースだが、
  1. だしを出す貝がいなかったため、味が頼りなかった。ムールの味はほのか也。
  2. トマトがなく、トマト缶で代用した為、本物特有の自然さが少なく、煮込みトマトのくせが出るので、馴染ませ、分量を加減するのに苦心した。
  • 結論としては、貝の味がなかったのは残念だったが、材料の範囲内ではほぼまともな味つけだったと自ら考える。
  • ところで、愛想のいいおばさんから買うのは、海老もムールも随分味がいいので嬉しい。

 

満腹になり、一服してから、薫は風呂に、くるみは香辛料包みに、両者とも勤しむ。(落としたが、薫が食事を作っている時、くるみは便所風呂で洗濯という激しい労働に従事していた。)

深夜まで、音の消えた部屋でスペイン語をにらんで、くたぶれた頃に消燈。おそらく、1時前。

 

ARROZ DE MARISCOには、味出しの貝(ムールだめよ!)と生トマトを欠くべからず—−−−本日の教訓