11月18日 マタスという名のペンション

早朝6時過ぎ、pour bouだと言って起こされる。列車を移らなければならない。

ここではその前に、custom、税関があった。列車にしては珍しくいちいちチェック

している。但し、日本人はほとんどノウパス。パスポートにハンコも押してくれないので"stamp please"と頼んだ。眼鏡の割れた日本人の女の子に会った。

 

 次の列車の乗車前に、窓口でボーデイングパスをもらう。一等車に乗る。ユーレール

パスのフル活用。フランス製の車両か、トイレその他フランス語がまず最初に書いてある。例のごとく、フランスのは見た目に重点があり、乗り心地があまり良くない。

疲れる。

 

  pour bouを出て、しばらく行くと針葉樹の森が暫く続いた。2時間ほどして街に

入りかけた頃から紅葉した樹林が見え始める。或る駅の前は煉瓦塀が囲んだだだっ広い

空き地になっており、その向こうは葦のような草っ原になっている。そこを何やら

スペイン人風の家族一行が草を掻き分け、むさむさと駅にやってくるのが見えた。

何かおかしな風景だった。

 

  Barcelonaに着き、informationで地図をもらう。ひどくいい加減なもので、

pension Matasの場所を書いてくれというと、別の立派な地図を出して書いてくれた。

Matasでは、600ペセタだと言うので即決した。シャワーも大変安く、50ペセタ、pts

という。シャワーで金を取るのかとは思ったが、冷静に考え比べると決して高くない。

普段は75ペセタだとも言った。

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バルセロナのペンションマタス主人

 

  薫朝食、くるみ洗濯。マタスのおっさんにいい食堂を教えてくれというと要領よく

、労働者がゆく単に安いところと、安くはないがgoodなところとを地図を使って

教えてくれた。一人350ペセタのコース料理。イタリアと違うのは、tax,service,vino

全てメニュー料金に入っていることである。魚のスープは量が多く、少し生臭いが

白身魚の身とご飯粒の入ったトマト味のまあまあのスープ。

パンは新しく旨い。メインのステーキは少し硬く、いまいちというところ。ポテトフライ付き。ワインは300〜350mlくらいの瓶一本がつき、これにデザートの二色アイスクリームがつく。腹一杯になり、ふたりで1400円ポッキリ。

これらの料理は一品で頼むと結構高くつく。アイスクリームだけでも125ペセタするのだからセットメニューのほうが断然安い。

 

  ピカソ美術館にゆこうとしてポリスに聞くと夕刻の5時までclosedだと教えてくれた。このポリスは何か答えたあと、敬礼をする。スペインに入ると一体に皆が親切に

道など教えてくれるような気がする。公園内のMuseo de arte modernoにゆく。

 スペインの二科展のようで大した事なし。色んな様式を真似たのや、自己陶酔型

写実主義が多い。

現代美術の中でゴンザレスさんの彫刻と絵は面白かった。中庭のアフリカ木彫り彫刻

風オブジェはやや面白かった。

 

  外に出るとくるみが眠くなったというので、宿に戻り寝る。午後6時すぎに起き

Museo Picassoにゆく。8時半閉館なのに売店だけ勝手に8時前に閉まってしまった。

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そこで我々は追っ払われた。近くでオレンジとシェリー酒と水を買って、昼間に行った

レストランにゆく。紋切り型の、パエリャが目当てだったのだが、行って見ると

今日は出来ないという。色々聞いてみると、出来ない料理がカルテの半分以上もあった。この辺がスペインだな。。。

 

  薫、セットメニューを頼む。マカロニトマトソース、チーズが削りたてでおいしい。メルルーサのフライは揚げたてで旨かった。と、よく冷えたオレンジが一個。

くるみはスパニッシュオムレツを頼んだはずなのに、ただのプレーンオムレツが来た。

聞いたら、スパニッシュオムレツはやって居ないと言う。物足りないので

隣の人が食べて居た手作りソーセージとピーマンとベーコンエッグの盛り合わせ皿も

取る。薫はビールも頼んだ。しかし、勘定書きには、くるみのワインしか載っていなかったのは、オムレツの埋め合わせか。大雑把なり。

 この店は結構常連も多いようで、皆部屋の隅に据え付けてあるテレビドラマを

一生懸命見て居て、なぜか日本の中華そば屋を思い出させた。

 

  宿に戻り、シャワーを使う。このシャワーは、complete openにしないと熱い湯が出ないので要注意だった。さっぱりした後、シェリー酒をひっかけて寝る。