11月17日 Musee Borely in Paris

 ベッドが広く真ん中がへこんで転げることもないので、よく眠れた。この部屋は10畳くらいの広さで壁中央に黄色の花の飛んだ壁紙が貼ってあり、カーテンも黄色で統一

されている。洗面器もトイレも床も実に清潔になっており、久しぶりに気持ちが良い。

  薫は何度も大きく息を吸い込み、”たくさん息を吸っても変な匂いがしないのは

いいなあ。”という。然り。広い部屋だとたくさん息をしても酸素がへる感じがしない。もちろん、シーツも毛布カバーも洗濯仕立ての糊のきいたものだ。

ベッドカバーは、オリーブグリーン。

 

  10時過ぎにむくむくと起き上がり、太っちょお肉ハムとパン、クリームチーズ、ショコラの朝食をとる。宿を出たのは11時半頃。チップを置かなかったが、おばさんが

別れの手を振ってくれたらしい。

 

  駅に荷物を預けにゆく。せっかく両替をしてバックパックをしまおうとしたのに

くるみのロッカーは鍵が閉まらないばかりか、お金が戻ってこなかった。薫がフランス人のおばさんについていってもらい、係りのおっさんに言い、やっとそやつは来た。

しかし、中を開けたら金が間に挟まっていなかった為、帰ろうとしたので、薫が

大阪弁で、”なんで戻ってこんのよ、何とかしろよ!!”そやつはすこしたじろいだが、

くるりと背を向けて立ち去った。金に真剣な薫はまた叫んだ。”カス野郎!”

 こういうことは外国ではよくあることみたいだが、故障しているなら、その旨、紙に書いて貼り付けるなりして使用中止にすべきなのに、そのまま放置して、誰かがいつも

損をするというのはすこぶる悪い習慣だと思う。駅長室に行って言おうとしたが、どいつもこいつも英語を全く解しないか、解しないふりをするので、あきらめた。

station masterすら、tourist informationで通じなかった。他の客に一生懸命対処しているところを見るとあながち不親切からではないようなのだが。

 

  昨日閉まっていたMUSEEにゆくが、ひとり10フランと思いの外高く、そばに貼ってあったポスターに眼を奪われたので、そのポスターの展覧会にゆくことにした。

それは昨日も行ったMUSEE BORELYだった。バス代が勿体ないので、歩く。。。

 

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  この美術館のある公園は海に面しているため、風が強かった。木の葉が踊り、

噴水の水が飛び散る中をMUSEEにたどり着いた。机の上には入場料10フランと書いてあるが、フリー、只無料だという。バスで来たらしいフランス人の団体が説明のおばさんについて廻っていたため、最初混み合って自由に動きが取れなかった。

 

 イランのモスクを中心とする特別展で、刺繍や織物、皿等の細かな模様や色など

眼が釘付けになるものが多かった。とくに、イランのだと思われるが、刀剣の鞘の意匠は面白く気に入って、くるみがノートに写し取った。それは一本の樹を中心とした唐草風模様の中に森の動物たちが色々な姿態で嵌め込まれたものだった。f:id:dodicidodici:20181127162704j:plain

 

  全体に陶器にしても刺繍にしても、逸品が多く集められているように感じた。薫は

化け物が4匹集まっている絨毯が気に入ったようだ。

 

  午後4時過ぎ美術館を出る。そろそろ陽が落ちかけているので寒く、二人とも足早に歩く。来た道とは違う道、paradisを帰ったが、この通りにはインテリア関係の、家具屋、絨毯屋、カーテン屋などの店が多く見られる。品物もとても豊富に感じられる。

今夜乗る列車は深夜1時15分に発車予定なのであるが、寒さと空腹のため、早く店に入りたいと探す。

フランスにも安い店屋はあるはずだけど、と言って探しているうちにそれらしき横丁に

出た。少し怪しげな感じのするインド料理屋にはいる。

階段は板が剥がれかけ、ぼこぼこになっている。恐る恐る上がってみると意外にも

きちんとした店内であった。あまり客慣れしていないおばさんが注文を聞きにくる。ベトナム料理もやっているが本来はインドの人らしい。薫のはビーフカレーで大きな肉の塊が4〜5個入っているもの。くるみはチキンカレーでギー(バターで出来たっぽい)

が少し強いがまともな味でほっとした。骨つき肉が入っている。ごはんは平たい銀皿に盛ってありふたりで分けて食べる。他に人参と玉葱を小さいサイコロ型に切りマヨネーズで合えた付け合わせが小さなカップに入って出された。薫ビール、くるみジャスミン茶を頼む。

薫のはドイツ製ビールで、KRONENといい、美味。ジャスミンティーは丸い大きな急須

にたっぷりとだされた。ほかにパンもついており、2人とも満腹になり茶をを飲んでいると、おばさんが来て”ライス?”と聞く。もういっぱいなのでこれでOKのつもりで

”OK"というと、また皿に一杯のライスを持って来てくれた。でも、何もかけるものがなかったのを見て、”ソース”と言ってじゃがいもカレーだか何だかのソースを少し入れて

持ってきてくれた。折角なので、平らげる。レシートにはおかわりのライス代はついておらず、ビーフカレーも25フランとくるみと同じだった。ああ、安くてよかった。

店のアドレスカードをもらったが、木を削いだものに印刷してあって珍しかった。

 この店には青年がひとり居り、併設ホテルに宿泊しているフランス人と話していたが

店を出る時、薫と握手を交わした。

 

  駅にゆき、待合室を探したが見当たらず。そう言えば皆てんでに寒さを避けてあちこちに腰を降ろしている。しばらく構内をうろついた後、駅のCAFEに入る。何も頼んでいないおっさん達が多く坐り、てんでに賑やかに話している。cafe(espresso)を頼み

粘っていると、一時間ほどした頃、急に電気が店の半分だけ消された。終わりにしては早いと思い坐っていたが、皆ばらばらと席を立つので、ウェイターに聞くとクローズトは10時だという。仕方ないので外に出た。しかし、しばらくしてまた、中の灯りがつき

先ほどと変わらず店はやっていたので、くるみが聞きにいったら・11時半までやっているとカウンターの中のおっさんは答えた。やっぱり追い出し作戦だったのか。。。

 

  行きどころなく、切符を買う窓口の前にある椅子に坐ったりしていたが、やっぱり

寒いので又、CAFEに入り、薫のみビールを呑む。もう特に注文しなくても坐る事が出来る。

 

  12時前、列車が来たので乗り込む。1等車だが座席も引き出せず幅も狭く寝苦しい。この列車はpour bou行きなので乗り換えねばならない。途中、車掌が検札に来たが

薫が寝ているのを見ると、しーっと手で合図してすぐ出て行ってしまった。エアコンの

操作を聞こうと思ったのだが。