10月18日 ビール旨し、アントワープ

朝10時頃、作ってもらったサンドウィッチを持って、各種日本人に見送られながら

VIERMASTERS STRAATを去る。バスにビクビクしながらタダ乗りする。全体に

こじんまりした街で物足りない。デルフト焼きも大したことない。

所在無げに道をそれて行くと、跳ね橋がはねていた。

脇にそれて川端のベンチでサンドウィッチを3分の2食べた。いやもう少し食べたか。

アムスの牛乳と同じのをここで買って持参している。サンドの中身が

チーズと胡瓜がつづくのでつい退屈してしまった。ごめんなさい。身勝手なものだ。

 

  川の水は茶色く濁り汚い。食後雨。軒を伝って駅へ戻ろうとする。途中文房具屋

に寄るもノート著しく高し。400~500円程度か。

 

  駅のバンクで残金をベルギーのマネーに替える。アントワープにゆく。

 

  インフォメーションでcheepest hotelを紹介してもらった。Hotel Rubens.

大通りをゆくと高層ビルが立ち並び、大都会というありさま。

アントワープという名前から牧歌的な,馬や羊もおる街かと勝手に勘違いしていた。

排気ガスもふんだんにふりまかれている。30分以上かかってHotelに到着。America

streetにある。ホテルの看板照明は古ぼけていたが、建物も古ぼけていた。ただし、

がっちりしている。応接はやや無愛想だった。共有空間は東洋風にうまく装飾されて

いるが、通された部屋は広いが、小汚かった。くるみ曰く、薫がぞうりを履いて居る時は汚い証拠らしい。自然とそういう行動をとる動物のようだ。

果たして薫は、”キレイやん:::”と言いながらぞうりを履いて居る。

ベッドカバーが厚く暖かそうだが、表面がほこり色をしている。めくってみると裏は

ガレージの敷物のようにまっくろだった。

Hotelのおばさんに食堂を聞くが、要領を得ず。メインストリート周辺を探したが、安い店は見当たらなかった。

  途中、スーパーで即席スパゲッティを買う。この夜の散歩の帰りがけ、ラザーニャが85 BFと安いスナックバーを見つけうっかり入ってしまった。それが間違いであることはあとから気づいた。

 おねえさんは愛想がいいし、安そうな雰囲気なので食べ物を頼んだのだが、

愛想と味とはまったく関係がなかった。

四角い銀紙の中で、生ぬるくなった即席ラザーニャがちんとふたつ出てきた。

肉の代わりにおさまっていたのは四角い薄いハムだった。

おそろしいことにこれはくるみが食べる始めてのラザーニャだった。これからは

どこでラザーニャを食べてもこれよりはおいしいと思うだろう。

幸福なことだ。よかったね。えらい目にあって。

ついでに”美しい時間”という名のビールと、CROC BURGENも追加してしまった。

兎に角、ビールが安いのはこの地方の取り柄か。宿に戻り、コンソメスープを啜り、

薫は起きつつ寝言を言いながら眠りにはいる。くるみは書きしごとを続けるのであった。