朝10時頃、作ってもらったサンドウィッチを持って、各種日本人に見送られながら
VIERMASTERS STRAATを去る。バスにビクビクしながらタダ乗りする。全体に
こじんまりした街で物足りない。デルフト焼きも大したことない。
所在無げに道をそれて行くと、跳ね橋がはねていた。
脇にそれて川端のベンチでサンドウィッチを3分の2食べた。いやもう少し食べたか。
アムスの牛乳と同じのをここで買って持参している。サンドの中身が
チーズと胡瓜がつづくのでつい退屈してしまった。ごめんなさい。身勝手なものだ。
川の水は茶色く濁り汚い。食後雨。軒を伝って駅へ戻ろうとする。途中文房具屋
に寄るもノート著しく高し。400~500円程度か。
駅のバンクで残金をベルギーのマネーに替える。アントワープにゆく。
インフォメーションでcheepest hotelを紹介してもらった。Hotel Rubens.
大通りをゆくと高層ビルが立ち並び、大都会というありさま。
アントワープという名前から牧歌的な,馬や羊もおる街かと勝手に勘違いしていた。
排気ガスもふんだんにふりまかれている。30分以上かかってHotelに到着。America
streetにある。ホテルの看板照明は古ぼけていたが、建物も古ぼけていた。ただし、
がっちりしている。応接はやや無愛想だった。共有空間は東洋風にうまく装飾されて
いるが、通された部屋は広いが、小汚かった。くるみ曰く、薫がぞうりを履いて居る時は汚い証拠らしい。自然とそういう行動をとる動物のようだ。
果たして薫は、”キレイやん:::”と言いながらぞうりを履いて居る。
ベッドカバーが厚く暖かそうだが、表面がほこり色をしている。めくってみると裏は
ガレージの敷物のようにまっくろだった。
Hotelのおばさんに食堂を聞くが、要領を得ず。メインストリート周辺を探したが、安い店は見当たらなかった。
途中、スーパーで即席スパゲッティを買う。この夜の散歩の帰りがけ、ラザーニャが85 BFと安いスナックバーを見つけうっかり入ってしまった。それが間違いであることはあとから気づいた。
おねえさんは愛想がいいし、安そうな雰囲気なので食べ物を頼んだのだが、
愛想と味とはまったく関係がなかった。
四角い銀紙の中で、生ぬるくなった即席ラザーニャがちんとふたつ出てきた。
肉の代わりにおさまっていたのは四角い薄いハムだった。
おそろしいことにこれはくるみが食べる始めてのラザーニャだった。これからは
どこでラザーニャを食べてもこれよりはおいしいと思うだろう。
幸福なことだ。よかったね。えらい目にあって。
ついでに”美しい時間”という名のビールと、CROC BURGENも追加してしまった。
兎に角、ビールが安いのはこの地方の取り柄か。宿に戻り、コンソメスープを啜り、
薫は起きつつ寝言を言いながら眠りにはいる。くるみは書きしごとを続けるのであった。