カタルーニャアートミュージアムへ 1月16日 日曜 今日も又晴れ

  8時半の目覚ましでは起きられなかった。何故かスペイン、特にバルセロナに居ると睡眠時間が長くなってしまう。暖かいせいだろうか。9時15分頃やっと起きて、急ぎの昼食。

サンドウィッチの弁当も作り、カフェコンレッチェもポットに入れて、フルーツサラダは

タッパーに入れて準備完了したのは、10時過ぎだった。

 

  METRO にて、Pl.Espanyaへゆく。メトロで気付いたが、以前、フランス語だとばかり思っていた各所の注意書きは、実はカタラン語であった。ここ、バルセロナでは、注意書きでも、カタラン語が一番上に書かれている。カタラン語は、フランス語とスペイン語のあいのこのようなことばだ。

例えば、出口というのを、フランス語では、SORTIE,   スペイン語では、SALIDAと言うが、

ここカタルーニャでは、SORTIDAという。

 

  地上に出ると、結構朝早くから人々が出掛けて来ていた。

MUSEU DE ARTE DE CATALUNYAは、石段を幾つも上がった高台にでーんと聳えている

建物だった。入場料150pesetasは何故か請求されなかった。日曜はタダなのかなあと、思いながら黙って入る。

  ロマーナとゴシックに分かれており、どちらも中心はやはり、キリストの絵や、彫刻だった。ヨーロッパのキリストと違い、眼はギョロッと大きく、身体もしっかりしたキリストが多く、薫には、四つ目の犬だけが印象に残ったらしい。くるみは十字架にかかったキリストが

棒状になっているのと、残酷な絵が平気な顔をした人たちによって成り立っているのが物珍しかった。

 

  MUSEU DE CERAMICAは同じ建物の二階にあり、幾部屋にも分かれていて、品数も豊富だった。我々の買ったワイン壺は、EL PUENTE DEL ALZOBISPOが産地だと分かった。明るくうすい黄緑とレモン色が中心に太く即興で描かれているのが特徴である。だから、軽みがありながら、生命感がある。くるみ曰く、日本人がスペイン的だと思うのは、黄色、橙、黄緑、

茶色の4色を使ったものが、最もらしい!と思うのではないか。

梅とウグイスを描いたらしい皿があったが、ウグイスはカラスのようで、梅の枝振りも日本のとは異なり、曲線を描いて繋がった模様になっていた。中国辺りの絵をヒントに真似たものだろう。

  くるみは完全に発達する前の、躍動的な絵皿が好きだそうだ。絵にはウサギや鹿が多く、タイルには豚を吊るして腹を切っているのや、野鳥か何かを机の上で、チョキンチョキンにしているのや、狩猟をした人がウサギを担いで帰るところやらがあった。

  やっぱり、昔からウサギを食べてたんだな!豚も食べてたんだな、これは普通だが。幾何学模様にあまり目新しいものは見つからず。

  しかし、タイル絵はなかなか当時の様子が知れて面白い。怪物に食われそうになっている人の絵や、怪物と大口開けて睨み合いをしているのやらがあった。グジュグジュ描いたものでも土産物屋のものより数段良いのが多い。

  薫思うのに、日本とこちらので大きく違うのは、こちらの陶器に写実的な絵が多いことだ。写実的なものは、立体に描かずに、平面の紙にでも描けば良いのではないか、と思ってしまう。この辺りでも、日本美術の装飾性と対比してしまう。身体的特徴に照らして、どうも

日本人は平面的になるのだろうか。うっすらと、平面的な顔を連想している。

 

  新進作家の陶芸は、彫刻と陶芸が一体化しつうあるようなものが多かった。これは

日本でもそうなので、おそらく世界的な傾向としてあるのだろう。不思議に観念的で、生命感の弱いものが多い気がする。抽象的な不思議を作ろうとしている。頭の捻り方が足りない気がする。

 

  ひとつ、壺に光る赤茶色で、火山の噴火のような模様が付いているのがあり、これは

珍しかった。青磁もあり、これは東洋趣味の人が作ったのかなあ。

 

  アルテザニア(要するにアルチザン)という本は、JAUME UNO通りにある本屋では、600pesetasだったが、ここでは2400pesetasだった。絵タイルも、額に入ったもの一枚で

1500pesetasで、4枚で4500pesetasだった。高し。ここは思ったより数が多く、思ったより

見応えがあった。日曜日ごとにタダとは有難い。

 

  午後1時前、ここを出て、バール横のベンチで日向ぼっこを兼ねて、サンドウィッチの

昼食。ポットの珈琲は温かったが、ほんのり茉莉花茶の香りが移っていた。

 食事中、眼の前の坂道を手製の台車に乗って滑ってくるガキどもがいて、ほこりが飛んでくる。鬱陶しく思っていると、しばらくしてパトカーが通りがかりにいきなり、その台車を

没収して行ったので驚いた。随分と、強気の行動に出るものだ。ガキどもも、茫然と見守るだけだ。

 

  くるみが鉄製のイスラム風飾りを欲しがるので、たしかスペイン村にあったと行ってみる。35pesetasと安いので入る。目当ての店は見つからない。どうも日曜の午後遅くで、

cerradoの店が多い。一応、目当てのセゴビアの店の場所を確認して去る。

 

  だいぶくたびれてきたが、2月の予定を立てる為、Miro基金美術館にゆく。白いモダーンな建物で、ガイドブックとは違い、扉が閉まっていた。日祭日は午後2時半までだったのに。

何とか警備員を呼び、TONI VIDALの展覧会について聞いたが、今の時点では、プランにない。どうなっているのかなあ。スペイン村で、バレンシアのワッペンを買ってメトロに

乗って帰る。

 

  < 今晩の献立 >

* ビーフステーキ 一人170グラム、ニンニクレモン醤油ソース

  肉は新鮮な薄い色をしていて歯応えがあり、薄い。久し振りのステーキもいいものだ。

 

* カレー風肉じゃが

 

* 人参のつや煮  バターと砂糖とひたひたの水でトロトロ煮て作る。いっぱいビーフに付け合わせて

食べた。

 

* スパゲティ・アリオリ変じて、タジェル(スペインの平たうどん)アリオリ醤油味

  スパゲティと思って買ったのは、Tallerという平たいきしめんのようなパスタであった。

  薫は、このパスタはアリオリに合わないとほざいた。そんな事があるものか。

  Tallerが可哀想だ。アリオリには、ツルツルした、普通の固茹でパスタが合うとほざく。

  ニンニク醤油をかけると、まるで中華つけ麺のようになってしまった。

  ところで、Tallerはどうやると旨く喰えるのだろうか?宿題である。

 

  くるみは食後、山ほど白ヴィノを呑んで、止めようとしない。

  薫は、食後、山ほどブランディを呑んで、止めようとしない。だんだん酔っ払いのような振る舞いが多くなってきたので、もう寝る。