1月9日 日曜 ガウディ博物館ゆき 青空、実に蒼し

  くるみが疲れているとの事で、ゴロゴロした後12時過ぎに起き出す。昼食兼ねた朝食。昨夜の残り物食べたのち、各自買った本を訳しにかかる。食事のネタを見つけるためなり。

  くるみは言葉が辞書に見つからず、四苦八苦している。薫は英語版のパエージャの作り方を訳した。

 

  夕刻4時をまわった頃、ガウディ博物館に予定通り出掛ける。店屋は全て休みだが、ここは日曜祭日しか開いていない。道ゆく人も少ない。みな家にくすぶって居るのだろうか。中には繁華街に行って居るのもいよう。博物館に着くと、辺りには家族連れや、ガキンコ、アベックが多からず、少なからず憩っていた。

 

  その足でMUSEOに入ると、歳違いの学生風ふたりで受付をやっていた。おそらく、友の会の人たちだろう。1名30pesetas払って入る。この安い額がうれしい。ガウディが設計した

家具があり、ガウディ曲線が流れている。素材の木が渋い色で落ち着いて居る。鏡台の右手前の脚が交叉しているのが、おかしかった。木製ベッドの頭と足元の木部には、花の淡い絵が

描いてあったが、これが日本の天井画に似てはかない感じがあったので、不思議な気がした。突然、日西の垣根を越えて通じる、創造の迷路。もう日が暮れる。アパートに帰ろう。夕食は

薫がPAELLAを作ることにいつの間にかなっていた。くるみがしょんぼりしているので聞くと、”今の時間をこういう風に過ごしていいのかと思う”と言う。色々話して、くるみの言う

”材料、とくに香辛料の豊富な地で実験が出来る”と考えることにしようということになった。

  どうも、色々聞くと、この3ヶ月動き回って張り詰めた気持ちが急にゆるみ、空白ができたという事らしい。これに加えて、気持ちが醒めると、自分をみるひとの眼が気になり出した。中国人にみられる時、差別されて居る感じを受ける。見世物じゃないぞと言いたいと。

こういう気分は整理してどうなるものでもないが、俺は漠然とそういう心持ちは自然なことで、そういうところから、また世間をみて考えていくしかないだろうと思う。

 田舎だと付き合う人の数も限られ、心情も違うだろうが、都会では気持ちが冷えて居る上、出会う人の数が多すぎる。田舎でほのぼのした外人付き合いをするのもいいが、少々想像出来るところもある。それより苦い都会生活をするのも一興じゃないか。

 くるみの心情は、この一週間の反省とこれからの暮らし方についての葛藤で揺れ動いていた。人種間の違和感や、異国での淋しさも混じっているのだろう。

 

  PAELLAは訳した通り忠実につくり、まずまずうまくいったようだ。いいガイドについて正確にコトを進めれば、料理はまずまずのものが出来るということだ。塩加減はくるみ大明神

にお出まし願った。結局、鶏の骨でしっかり出しを取って、サフランを使うことが二大ポイントだ。俺が作っている最中、くるみは何の口惜しさか、リオハの赤を煽り、オリーブの実を口に放り込んでいた。以下、料理の覚書。

   <PAELLA>

材料

鶏 スープ用(頭1、足2)具として(もも1)、玉ねぎ大三分の二、にんにく二片、サフラン

細いの5本、海老14尾、アーティーチョーク6片、ピメントン4振り、米1合、レモン半分

塩少々、オリーブオイル沢山

テクスト通りやったが、パエージャ鍋の代わりに、フライパンと土鍋で作った。

 

感想

# 煮詰まるので、塩加減は慎重に。

# アーティーチョークはフレッシュを使ったが、茹でたにも関わらず固かった。古いせいか。テクストでは缶詰を使うことになっている。

# 米の硬さは今回ちょうど良かったが、かなり気を配らないといけない。

# 赤ピーマンのマリネは、とてもよくあうので、用意したい。上に乗っけて焼く。

 

IMG_5645.jpg

 

  おそらく、10時を過ぎた頃だろう。EL SALAKOの歌声を聴きながら、2、3つ訳してから

眠ることにしよう。

  追記

  バルセロナをもっと開拓したいし、体験したいので、昼街巡りをして、夜、夕食に重点をおいて、スープ、メイン、デザートを新しく作ってみよう。昼はサンドウィッチを持ち歩いたり、いいレストランを見つけては入ったりしよう。夜は読書三昧で。