コインブラからマドリッドへ 12月16日 木曜

サラマンカ行きに乗る予定で駅に行く。バッグを預けて駅北のCAFEにて朝食。ここは

甘菓子屋もやっている。ここのトーストも縦3本に切られ二枚重ねで棒状になっている。この

カットは食べやすく上品でよい。夕食の材料を仕込むため、出かける。しばらく人の行く方に

ついて歩くと市場があった。ここの辺りの道は、幅狭く急坂で道端に色々売り物を並べた店や

、地べたに衣類を積み上げた露店がずっと続いておりモロッコさながらである。

  道ゆく人もあちこちで店を覗いたり、頭に野菜を載せて歩くおばさんがいたりで、あの

異様な風体を除けば、全く変わるところがない。混沌としている。

ただし、あれ程の活気は感じられないが。

 ポルトガルは、ヨーロッパのモロッコである。

市場をうろつく。中央付近にあるパン屋が固まっているところで、皆が買っている木の葉型

パンを五つ、揚げパンを二つ買う。甘パンをたくさん置いているので、大きな蜂が

ブンブン飛び回り、パンに止まりしている。だから、袋にパンを入れるときは、実に素早く

パンをつまみあげ少し開けた袋の口に放り込むのである。

くるみは気味悪がったが、みんなは平気で買っていた。ここの市場は主に一番外周が肉屋。

次が八百屋、果物屋の列、そして漬物屋少々、真ん中にパン屋があり、その近くに

チーズやバターを売る店が並んでいる。

どこでもそうだが、ここでも例外なく、非常に混んでいる店とそうでない店がはっきり

していた。何故かは分からない。値段のせいか。

  結局、チーズ100グラム少々、ヨーグルトふたつ、それに塩漬けグリーンオリーブ

100グラムを購入。果物はみかんと洋梨、腐りかけた柿くらいしかなかった。

みかんは種ありなのでやめる。

鶏は絞め殺したままの姿で置いてあった。聞いたところでは、鶏は生きたまま籠に入れて

売っているところもあった。

 

  昼食時間なので安いレストランを探す。

なかなか見つからずやっと小さなビアレストランに入る。食事は二階でだった。

天井の低い、いかにも安食堂という感じの部屋で、長く3列ほどに連ねられたテーブルの上に

お皿が伏せて置いたあった。ナプキンも半分くらいに小さい。

椅子がないので、薫がかき集める。隣の母娘が食べていた煮豆風のPLATO DEL DIA

今日のランチを注文。ワイン500ミリリットル付き、パン付き。これは

白インゲン豆入り、米入り、もつ煮のようなもので、トマト味。見た目より美味しかった。しかし、豆の多さには閉口。この間から豆ばかりだ。

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また、お隣さんが飲んでいるのを見てSOPA DE VERDURAS、ポルトガルの野菜スープを頼もうとしていると、おばさんが

店の台所まで言いに行ってくれた。これは傍目にはワカメ入り味噌汁に見える。

おなじみの菜葉とじゃがいも,人参等を煮込んで薄味のスープにし、細いパスタを入れてある。

隣の母娘は控えめながら、我々が色々聞くので、嬉しそうに応対してくれた。

女の子は、vinoを注ぐコップがないので他のテーブルのを取ってきてくれたりした。ここでは

日本人が珍しいのか、皆珍しそうに我々を見た。

  勘定をする時、厨房を覗くと、ここの娘か、女の子が忙しそうに立ち働いていた。

パチリ、撮影。スープは勘定に入らず、ふたりで300、約1080円ぽっきりの昼食だった。

 

  列車の出る時間まで間があるので、長居できそうなカフェにて一休み。カフェコン

レッチェは相変わらずの薄さ。隣の男はずいぶんとでかい態度で新聞を広げていた。

最初割合空いていたので入ったのだが、だんだん混み合ってきて、何でこんなに

暇な人が多いんだろうと思うほどになった。3時過ぎ店を出、銀行に行ったが、どこも

2時45分まででクローズト。1万円余り残ったポルトガルマネーを替えるために予定を変更して

リスボンにゆき、その足でマドリッド行き夜行に乗ることにした。

 

  駅員には17時発等と言われたが、トマスクック時刻表には載っていない。側の人に聞くと

皆それぞれ違ったことを言うので困った。時刻表もこの駅のは,ここ発の時刻表にはなって

おらず、記載の仕方もわかりにくく参った。ローカル線らしきリスボン行きに乗り込み、

とにかく乗員ならいいだろうと、尋ねるが要領を得ず、おまけに間違ったことを教えるので

コインブラB駅で降りるところを通り越してしまった。

次はEntroncament駅で降り、何としても21時までにリスボンに辿りつかねばマドリッドにゆく夜行に乗れず、したがって両替した意味がなくなる。何回も何回もしつこいくらい尋ね

ようやく席に落ち着く。ふたり共疲労困憊。おまけにこの電車はトイレの臭いがぷんぷん

立ち込め、混じって魚の生臭い臭いがする。

Entroncament駅に着きリスボン行きに乗り換える。くるみのみ席を得る。バッグを上げていると、イギリス人風紳士が自分のバッグを横にどけて置かせてくれた。

列車が出ると廊下に立っていた薫のところまで、タバコを吸いがてら遊びに来た。

ひとしきりこちらの事を質問したので、こっちから聞くと、ノルウェイ人であちこち

旅行しているらしい。スペインの話になると、バルセロナが大好きで、本当に素晴らしい

街だと、しみじみ語った。ガウディのことなど。マーベラスや、スプレンディドが連発された。

ヴァレンシアもいいが、むしろバルセロナがまさっていると言う。同感の意を表明した。

しばらくはバルセロナに住むつもりだ、と言うとたいそう喜んで賛同した。

 

  実はここで会社員と名乗ったのに学習のために自費で来ていると言ったので、

やや矛盾が生じた。会社員なのに随分と長く休めるものだと思ったらしく、会社の金で来ていないのを不思議がっていた。

 

  前後するが、コインブラはあまり好きでないと答えていると、少し顔を曇らせて

かなりポルトガルは貧乏だからなと言った。このおじさんは、いい色のグリーンのカーディガンに渋い茶系のズボンを履きなかなか紳士然としていた。面相はたっぽりと大きく白く

優雅な文化人風のところがあった。なんとはなしに、好きなエッセイスト吉田健一を連想した。ボン・ヴィヤッヘ!とポルトガル語で別れた。

 

  リスボン(LISBOA)には午後8時過ぎに着いたが、銀行はまだ開いていた。スペイン通貨に両替。41エスクード?だかの残りで、水っぽい牛乳入り珈琲2杯とチョコレートを値切って買い、ジャスト0。マドリッド行きの夜行に乗り込む。車掌席隣の1級コンパートメント。

無事2名で占領して横たわったが、平和は長く続かなかった。Entrocamentにてポルトガル

侵入いや、席を譲る。おばさん2人、ガキンコ2人、娘ふたり。しばらくして坐ったまま

寝入ったが夜中に目が覚めると、おばさんらがふたり分の席を占領してすっ転がって

いた。気分を害しながら再度眠りにつく。おばさんとガキンコは交互に組み合わさったまま、

眠っていた。おばさんは気を使って小声で話してるかと思えば、朝になったら服の中に香水をつっこんでシューシューやるなどアンバランスな気の使いようだった。

  1時間時差があるため、ポルトガルで合わせた時計で8時過ぎ、マドリッド・アトーチャ

駅到着。