11月8日 カラマタ in ギリシャ

  予定通り、8:56の列車(KALAMATA行)に乗る。駅近くで買ったハムソーセージを挟んでサンドイッチ。ミルクは上の方に脂肪分が固まって浮いていた。グレープフルーツまで食べたらお腹がいっぱいになった。昨日とはうってかわって良い天気で陽ざしが強く車内に差しこみ、暑くて閉口した。相変わらずアテネの方の空は重苦しく雲が立ち込めている。

 

  山と山の間を走ってゆく。オリーブ畑というか、オリーブ林が多く、山全体がオリーブの葉の色を成したように見える、しかし、イタリアのように根元の草は刈り取られていない。老木もあり、植えたばかりの若木もある。それは葉っぱの色で区別できる。老木は白っぽい深緑色をしているが、若木は強い緑色である。

 

  オレンジの木もあちこちに見え、今実が熟さんとしている風だった。空はギリシャへ渡って初めて青い。山は日本のように全体を緑の木で覆われてはおらず、あちこちに白い地肌が見える。というか、岩でできた山にあちこち低木が生えているといった具合だ。(こんなに岩が多いのだから、大理石がよく使われるのだろう。)遠くから見ると、まるで山にまんじゅうを投げつけたように、木が丸く小さく、あちこちに繁っている。

 

 

  駅とも思えぬ小さな駅に止まると、線路のすぐ脇まで茶色いニワトリが餌をついばみに来ていたりする。小さな駅には花壇があり、小高い山とエメラルド色の海の見える場所があったが、降り損ねた。黒いスカーフをかぶって黒い上着を着た太ったおばあさんがよく曲がった杖をついて、羊を追っていたりもする。ここら辺では馬で畑を耕していたりするところもある。

 

 

 

  何回も居眠りを繰り返すうちにKALAMATAに到着。一見してあまり芸のなさそうな街のため、途方に暮れた。おまけに、TURIST POLICEでもらったお気に入りの地図まで電車の中に置き忘れてしまって失くなっていた。(これは薫が駅長室に頼みに行き、3時間後くらいに戻って来たのだが) 何者かわからぬ人に声をかけられ、海岸へ行くBus stop No.を教えられるが、依然として重い腰。あの、感じの良い村で降りなかったことが悔やまれた。でもHotelなどない村だったかもしれないが。

 

  しばらく駅前の椅子に座り、呆然としてのち、昼食を食べに食堂に入る。調理場まで行き、昨日の如く、料理を指差して頼んだが、来てみると、生温かく(生ぬるく)なったものばかりだった。2人とも黙って食事。

 

  天井の上の方からハエ帳がぶら下がり、たくさんのハエが捕まっていた。私たちの他に客は1人。おばはん、おじさん、娘、息子、そして娘の友達が昼食をとっていた。この、よく喋る友達の女の子(18歳だといった。ラコステのシャツとセーターを着ていた)に海に行くためのバス停を教えてもらう。No.1のバス停で待ち、バスに乗り込む。薫がユーレイルで聞け、というので、見せたが仲々にしっかりしたおっさんで、しっかり26Dr取られた。おっさんの教えてくれたところでバスを降りると、人気のない海水浴場に出た。バスの中から景観が平凡なのと、防波堤が作られているのを見たときから、失敗したなとは思っていたが、「やはり」であった。どこの国でも季節外れの海水浴場はさびれているくせに、値段だけは高い。

 

  駅前に泊まることに決めて、バスで引き返した。今度はユーレイルをしばらく眺めたのち、あやふやにOKとなった。くるみがもう一度OK?と繰り返したので、薫に繰り返さぬ方が良い、とアドバイスされた。善良なるギリシャ人を騙してしまった。ごめんなさい。もう一度駅に行くが、やはり今日の列車は夜までなく、時間表をもらって宿を探す。

 

  恐ろしいことにホテルがほとんど見当たらず、1つはしまっていて、もう1つ、たった1軒あいていたのは、あの、薫が「汚いおばさん」と言っていた食堂の2階であった。くるみが単独で値段を聞きにゆくが、太って足の悪い婆さんが出て来て、何度値段を下げてくれと言っても、600(エクシ)、600(エクシ)と指で折って繰り返すだけだった。しぶとい婆さんめ!他にゆくところがないのでここに決めた。が、部屋に貼ってあるPRICE表とあわないので、また交渉に行ったら、他のことは通じるのに、こと値段になると、No, エナ、ディオ、トリア、テッセラ、ベンデ、エクシ、エクシ!と指で示し、聞こえないふりをし、あとは編み物を続けるのだ。さすがの薫も面倒臭くなり、2人でため息をついて、ベッドに倒れた。

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  夕食の前に、明日の朝食を仕入れにゆく。ミルク1本(1L)とクリームホーンを買い、これは食べる。宿の近くのレストランでムサカとポークの煮込み、トマトサラダ、ビール、パンを食べる。ここのムサカは、1番下にじゃがいもの薄切り、次になす、ひき肉、なす、チーズというように重ねてオーブンで焼いてあって、とてもボリュームがある。ポークはいまいちだったが、水もボトル1本出て来たし、ボーイさんも感じがよかったので、まあ満足。おなかは満腹。

 

  はちきれそうになったお腹をかかえ、宿に戻る。2人ともシャワーを料金分たっぷり使い、小ぎれいになって寝る。今日はツインベッドなので、よく眠れそうだ。明日は天国コースへ。