11月12日 ランチで失敗in ミラノ

  昨夜はコンパートメント内の暖房が効きすぎ暑くて困った。一番弱くしても汗が出るし、息苦しいしで背中が燃えるようだった。そのせいか今朝は頭が痛く、ぼんやりしている。

 

 

  窓をあけると外は濃い霧で、風といっしょに部屋(コンパートメント)の中に流れ込んでくる。予定の9:00を過ぎてもなおMILANOにつく様子もないので、薫が時刻表を調べたりする。10:56頃の時点で、通路に立っていた車掌に、何時着くか、この列車はBARI 9:00発の列車か等を確認。何かアクシデントがあったらしく遅れているのだと心なしか元気のない声で答えた。

 

  11:40MILANO着。今日は買い物をするだけでこの街に泊まるつもりではなかったが、くるみがしんどいので(風邪をひきそうなので)インフォメイションにて安宿を聞く。

 

  18000リラということで駅から15分程歩いたところにあるPensioneを尋ねる。思ったより綺麗なので決める。荷物を置いて昼食に行く前、宿のおばさんに電気製品を売っているところを聞くが、全然英語が通じず。自分たちで探すつもりで、ドゥオモ近くの例のトラットリーアへ向かう。着いてみたら、シャッターが下りていた。

 

  ぼーぜんとして、近くのトラットリーアへ入る。ここは少し高めの店。中へ入ると、複雑な造りに店内が入り組んでおり、結構広かった。客もたくさん入っていた。我々が座ったテーブルには盛大に飲み食いしたらしい痕跡があった。くるみはスパゲティを食べたいので、ボンゴレを注文。以下に薫の注文も列記。

 

Primo

◆くるみ…スパゲティ・アル・ボンゴレ 麺の茹で方には気を配ってあるが、味はやや淡白。量は多くない。

◆薫…パスティ・イン・ブロッド スープの中に小さいお茶漬のりのあられのようなパスタがたくさん入ったもの。

 

Second

◆くるみ…オムレツ ベーコンのオムレツ。

◆薫…フリッタータ ズッキーニ 輪切りきゅうり入り卵焼き

 

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   薫はプリモどころかセコンドも失敗してしまった。予期していたより遥かに少ないボリュームの昼食。小さい小さいパスタ入りスープに卵などまるで離乳食のような食事だった。(あとでスーパーマーケットに行ったが、本当に赤ちゃんの絵のついた箱に入ってちいさいパスタ入りスープが売っていた。)それでもカゴに盛られたパンを食べてなんとかお腹をいっぱいにして店を出た。

 

 

  店屋は例によって4:00頃まで開かないので、広場みたいになったところでぶらぶらとして時間を潰した。3:00過ぎ、電熱器とパスタメーカーを探しに店屋のウィンドウをのぞいて歩く。電熱器は重いし、値段が高く、パスタメーカーも仲々思い通りのものがない。STANDAやUpimに売っているものもそう安くはない。大体、ダイエー西友のように食料品の他に、大々的に電化製品を扱っているスーパーなど見当たらない。どこで買ったらいいのか、また、ここで買った方が安いのかさえも検討がつかない。結局、電熱器は、特にイタリアで無理して買わないでもいいし、パスタメーカーもスパゲティ用だったら、日本にも売っているので、手打ち麺ができるようになってから買う、ということに決まった。夜は簡単に済ませるために、PAMにゆく。(その前にFrullatti mistoを飲む。)

 

  そういえば、PAMに行く前に通りの店やをひやかして歩いていると、刃物屋があった。結構良さそうなものを置いているので見ていたら、ヘアーカッターがあったので、店内に入り見せてもらう。簡単な作りで日本でも何度か見かけたことがある。値段は3000リラ。

 

  迷っていると、客が入って来て、自分も使っていると言って、髪の毛を指した。この客は身繕いもきちんとしており、頭髪は金色で綺麗に分け目がついて短く刈られている。彼は替刃を買いに来たのだが、店の親父と一緒になって我々にヘアーカッターを勧めた。何となく信用がおける気がしたのと、そろそろ髪の毛うっとおしくなっていたのとで、替刃とともに買った。親父は、高級品のトンボカミソリもわからぬイタリア語で熱心に勧めた。この一生懸命さが単に商売的なものだけではなく、おやじの性格をあらわしているようで、少し異常なかんじがした。あとから薫に聞いたのだが、おやじの左手には指が3本なかったという。まさか刃物屋をやっていたおかげで切り落としたのでもあるまいが、何という壮絶なデモンストレーションだろう。この間のナイフで、薫が指を怪我したことを思い合わせると、ドキッとする。

   赤茶色のつやのない神できちんと几帳面らしく(しかしその割にはたどたどしい包み方ではあったが)包装し、最後に金色のシール(店の名前)を真ん中にペタッと貼った。この素朴さ(シンプルさ)が薫はいいと言った。

 

  宿へ帰ったら急にくたびれて、薫はパンもろくに食べず、ベッドにもぐりこんだ。くるみも相当疲れて下り、下手をすると風邪をひきそうである。りんごとバナナとヨーグルトのサラダを食べ、牛乳を飲んだのち、眠ろうと思う。

 

  しかし、トイレへ行こうと廊下に出たら、人がいたのでボンジョルノ(本当はブオナセーラ)と声をかけ、トイレへ向かった。ところが、その男はトイレの戸に手をかけたまま、物も言わず、異様な目つきでこちらを見たまま、ウンともスンとも言わない。何気ない風を装って部屋へ帰って、あー怖かった、と思った。男は黒い髪の毛(本当は日本人なのかもしれない)を5分刈りくらいにしており、度の強い細枠のメガネをかけている、顔形は長四角形で頰がこけており、猫背である。ジーパンを履いていた。いったい何のためにこちらを見ていたのか、異様な雰囲気(怖い、気味悪い)を感じたのは何故なのか、わからない。このあと、薫についていってもらって歯を磨き、顔を洗い、寝た。

 

◎仮説

①日本人の親が精神病者を伴って海外旅行に来ていた。

②ごく普通の人だが異様な性格なので、くるみに誤解された。

③とにかく異常な夫婦者で、この宿の主のようになっていた。