朝食はコンチネンタルブレックファースト、つまりパンと珈琲とバタージャムだけ。ここは茹で卵つき。ここのパンは日本のように柔らかかった。
茹で卵は外国式にスプーンで食べた。今日はあまり動かぬようにして、ハイデルベルグへ行くことにする。
ちなみにこのホテルを出る時に会った日本人のにいちゃんは憔悴した顔でウイーンでは
3日雨だった、それで宿屋の前の菓子屋で菓子食って過ごしたと聞かされた。
色んな人がいる。
車中では乗り合わせた美麗な婦人に、ドイツ語の1〜10までの発音を教えてもらう。
ハイデルベルグは冷たい雨が降っていた。インフォメーションに頼らずに
歩いてホテル探しをすることにする。
駅から15分位歩いて見つけたELETE Hotelは、Neinと無碍にも断られ、旧市街の方へと宿探しを続けた。一軒覗いていたら近くのタクシー運転手が勧めてくれたので
当ってもらうと、満室だった。
これ以降宿探しの苦闘は、昼食を除き、5時まで続く。
途中、旧ハイデルベルグの市街を一往復したが、実に長い商店街(観光客向け)を
形成しており、これには興味を惹かれた。
特に、Haupt Strasse?の奥にある店の陶製ビアマグは面白そうだった。5000円から
10000円となかなか高い。ちゃちなものも多い。
ただし、風雨強く落ち着いては見られなかった。
ネッカー河畔から見た対岸の家並みが綺麗であった。右手上方のお城も
歴史的な建物を見慣れない眼には口で言えない驚きを与えた。
旧市街の通りにはスーパーマーケットがふたつみっつ、その他パン屋、肉屋
土産物を売る比較的洒落た店、イタリアンレストラン、珈琲ハウス、ビアホールなどで
あった。どこもあまり安くない。ドイツという豊かな農地を持った国で、自国の料理屋
があまりはやってないのはおかしい。ここでもイタリアン、pizzeriaは客の入りが
よかった。
依然として雨。とうとう旧市街の外れまで来てしまった。寒くてお腹が空いていたので、黒板にシュニッツエルと、なんとか読める定食を出している店に入る。95DM.
あまり安くはないというか高い。シュニツエルはさほど珍しい食べ物ではない。
要するに豚の薄いカツなのだ。しかし、バターで焼いてあるので日本のとんかつより
少しくどいようだ。ここでもチップスが出た。でも所変われば呼び名が変わるように
ここでは、pomme frittes という。イギリスでは、chips、フランスではfrench fry?
そして日本ではフライドポテト。本当になんてみんなジャガイモ好きなんだろう。
廻りの人々は皆大きなグラスでビールを呑んでいた。
何も飲み物がなかったのは私たちだけであった。
結局、帰りもホテル探しをして歩いたが、どこも一杯でついに駅まで
戻ってしまった。駅のインフォメーションでも一杯だという。
ただひとつダブルベッドで60DMで、7キロほど離れた所ならあると言う。諦めた。
ここは観光地然としているが、再見の価値あり。なんとかして空いている時に来たいものだ。
TEEに乗り、マインツに戻るつもりを転じ、ケルンに向かった。
やはりそこもホテルは満室。夜を明かすバスなら泊められると、女の子たちは笑った。
やめた。
ケルンの駅前には水色の照明を当てた馬鹿でかいカテドラルが聳えている。
絶景かな。ここはマインツよりも店屋食べ物屋が少ない。また、数も大都市の駅前にしては少ない。
これ以降2、3時間に亘り、薫とくるみは大喧嘩をする。お互いを罵る。しかし本当は
くるみが悪い。いや薫が悪い。ホテルが見つからず疲労困憊の極にあったのだろう。
別々に帰るということになり、勝手なホームに向かって歩き出した。
その後なんで渋々戻ったのかは定かでない。
結局、薫はゴムのようなパンとリンゴを口の中に突っ込み、ふたりでは
なんとか??wurstとかを食べる。二個食べる。
Barで、Pils beerを一杯ずつ呑む。
出発時間の一時間前から寒いホームで黙って待つ。
これより前、列車のインフォメーションで、ホテルのインフォメーションの場所を
聞こうと並んでいたら、前に日本人らしき男の人が何やらへどもどと話そうとしていた。声を聞いた途端日本人だなと思った。彼は弱々しい声で何やらを指差し
”no" "reserve" "this"と切れ切れに聞いていた。係りの女の人は困った顔をするし、背後のドイツの女の子達はひそひそと笑っているし、結局は"no !reservation"と言って
追い返された。
列車の中は空いていた。ついつい走り出し、ドタバタと席を確保してしまった。
一等車を借り切ってしまって、お座席列車のようにしてしまい、たぬき寝入りを
続ける。(悪い子だ)残念ながらあの羽根枕はついていず。
途中オーストリアで起こされる。何も分からずぼんやりしていると、(薫はまた寝てしまっていた)外から窓をどんどん叩かれ、乗り換えだ!というので二人して大慌てで
シーツを抱えたまま外に飛び出した。ミラノ行き車両に乗り移る。
比較的混んでいたが、一室を見つけ陣どり、もう一度寝る。