11月11日 アルベロベッロからバーリに帰る

  昨日は10:00前に就寝。そのためか、7:00頃に目が覚める。8:30頃までごろごろする。喉が渇いたが、ここのPensioneは水も出ないので閉口。(水をケチっているのか、出ないので言いに行ったら汲み置きの水を指差した)2人でかわりばんこに歯を磨き、顔を洗い、小便した。必要な水はバケツから汲み出す。

 

  バックパックを駅に預け、アルベロベッロ行のFSEに乗る。列車はFIAT製。止まっているとバスのような音がする。くるみの隣には小汚いじいさんが座り、薫の隣には大きな学生が座った。

 

  じいさんは左目が義眼で居眠りをしている時も左目がぱっちり開いたままになっている。閉じた目のまつげが長く、童顔であるだけに、左目が印象に残った。右手の大学生にはいろいろと質問をしたが、彼は英語が下手くそで、仲々思うにまかせなかった。ただ、下車駅と食堂だけは身を以って教えてくれた。

 

 

  いったんCUCCINAまで行って銀行にゆく(BANCO DI NAPOLI)。狭い行内でT.C.を拡げていると、きちんとした普段着の中年が両替ならここより隣の方がレートがいいと教えてくれた。銀行内で変なことを教える奴もいるもんだ、と思いながら、忠告に従った。

 

  もう一方は、農協の信用金庫風だった。そこでレートを書いてもらい、もう一度BANCO DI NAPOLIに戻ってみると、さっきの中年が銀行の窓口に座っているではないか。彼を疑ったようで悪いとは思ったが、ここでもレートを確認した。すると、BANCO DI NAPOLIの方が1リラレートが高かった。何故彼は他行を推したのか。結局、気味悪いので農協風のところでchangeした。控えには960リラという手数料らしきものが列記されているのに一切手数料を取られなかった。他国の金にT.C.から換えるのに手数料をとられなかったのは、これが初めてである。(レートに手数料が含まれているのか。)

 

 

  CUCCINAに座る。英語ができるかと聞いた客引きの少年は聞いた割にほとんど英語を知らなかった。きちんとテーブル繕いをした食堂であるが、客が来た形跡も来る形跡もなかった。我々の向かい隅にひげづらの男がテーブルに向かって何かを書いている。

 

  パスタ類とお肉、それに赤ぶどう酒(500ml)を頼んだ。しばらくしても来ないので、少年にどこが台所が聞いても双方理解しない。カウンターの壁の一部下方が開き、そこからパスタが突き出されたので、向かい部屋が台所であることがわかった。このスパゲティとパスタの量は、これまでで最も多く、セコンドピアッティを必要としないほどだった。めんはしこしこと手打ちのようで旨し。但し、味付けはやや単調。お肉も、ボリュームのあるのが出、ビノは薫ひとりで飲んだのでCUCCINAを出ると、もう見物する余裕がなかった。

 

 

 

  TRULLI街の坂を登ったところのステラのある公園で横になる。近所のガキンチョがそばに遊びに来たので、少し話しかけると、あとあとまでくっついてきた。12歳男子2名。郵便局や協会や果物屋を教えてくれた。果物屋は昼休み。駅に戻ると、また別のガキンチョが2人来たので、しばらくからかって遊んだ。日本語でバカにしても何となくわかるようだ。

 

  BARIに帰る。この日は、祭りか何かで午後はマーケットや食料品店が全て休みなようだった。それでカプチーノを飲むことしかできなかった。

 

  ただ思い起こして前のオステリーアのそばにゆくと、コソッと1軒の肉屋が開いていた。ウィンドウは閉ざしているが、扉1枚開いていた。ここで、mineral waterとAranciata succoを買う。mineral waterはnon gasだと言ったくせに、しゅわしゅわのだった。くるみが腹痛で(気泡が胃を圧迫する)、そばのベンチで休む。

 

  BARIの新市街地はこのベンチを通して連なるしゅう林(グリーンベルト)が境になっているが、ここを越えると、雰囲気が全く下町になる。これほどくっきり区分されているのは珍しい。貧民街なのだろうか。この街では会う人ごとに子どもがカバンを狙うから気をつけろと教えられた。

 

 

  しばらくして、いっときに子どもが2〜3人くるみの前に現れた。1人が目の前で親指を立てて何がしかを要求する。別の手を開いたときは、その真っ黒なのに驚いた。鼻の下も真っ黒だった。いかにもものなれた様子だった。と同時に、薫が立ち上がり、3人を見下ろして「何や?」と言いながら、ずんずん歩いて行くと、3人のガキどもは身体をびびらせながら、逃げていった。そばに座っていたおっさんも子どもたちを叱り、薫の方を向いて、それくらいでいいという仕草をした。言葉はわからなくても感覚で恐い、と感ずるらしい。それ以後近寄ってこなかった。

 

 

  実際の時間とは前後するが、BARIには寝装用品の問屋らしき店がかなり多いのに気づいた。靴屋も多い。全体に垢抜けた都市としてまとめられている。人通りも多くにぎわっているので、少し意外な気がした。9:00発MILANO行の夜行に乗る。明日は買い物の日とする。MILANOからはNICE,MARSEILLEを経て、20日前後にSPAINに入る予定。