チボリで会った若いメキシカン風の男は先述のように、広島大学の教授をしている。中背でがっしりした体格で、南方系の人懐っこい顔をしている。髪はパーマがあたっているらしい。四国は高松出身。京大を経て今日に至る。
現在先行している生物数学はどうもナウな学問で、彼は山師的な気分から選んだという。学者で食えなくても何でもやっていけると言っていたが、何かにつけ、おさまりかえるのが嫌いな性質らしい。
それで広大に閉じこもるだけではなく、カナダ・アイルランド・イギリス・アメリカ・イタリア・フランスと世界の各地で講演をして回っている。旅の中の生活も身についており、奥さん共々、市場からの買い出しでイタリア料理を作って食べている。
招待された彼の自宅は2DKでバス・ベランダもついている。汚いと言っていたが、何の小さな絵の額がたくさんかかり、上品な部屋に見える。家具・食器も備え付けで1週間4万円。こちらの契約では、1ヶ月を超えると税がかかるので、1週間単位にしている。書斎の本棚に備え付けの本まで入っているのは面白かった。ダイニングには、日本風の掛け軸もあった。(備え付け) 彼らの寝室の隣の部屋(書斎)にはベッドが2つあり、これを結局我々が使うことになった。
世界各地で外国人との交渉で抜け目なくやって来たらしいが、我々を泊めることになったときも半ば軽口で、そのかわり、食堂開店の際には招んで下さいなどと言っていた。商売をやってもきつそうな男だ。
彼の友達は、質屋・新聞記者・イタリアンレストランのマスターなどと雑多な職業の人間が多く、利害関係もなく、様々な情報に通じることができるので、すこぶるおもしろいと言っていた。ひとつの世界に閉じこもるきらいがない。大人しそうでいて、話し出すと表情は明快になる。ただ、話の上では、学者さんらしい素直な甘さが見えたような気がした。気を許してくれているのだろうか。
奥さんのことは田舎者なもんで諸外国でもなじみやすいと言っていた。市場でもすぐ友達ができる。頭に垣根が少ない。島根県益田出身。26歳(またしても)。髪の毛はカーリーでミドル。東菅野の宮永さんに似ている。物腰はおっとりとして、お嬢さん的だが、いざとなったらきつそう(しっかりしているという意味も含め)な人だ。
★豆知識
・イタリアの土鍋は良い。レンガのような赤土でできており、かなり厚みのあるつくり。直接火にかけられ、そのままテーブルに出すことができる。
こびりついたように把手がついている。
いろいろ大きさがあり、小さいものは200〜300円くらいから。
・パスタを作る機械
・トルテリーニ
・スパゲティ 他いろいろな種類がある。
・イギリスではKODAKを買うと、現像券につき、現像をすると、1本フィルム券をくれ、それを繰り返していると、現像代だけで、フィルムはただと同じことになる。
・クリスマスは混むので、12月上旬には宿を借りた方がいいと思う。