10月14日 おかゆさんinヴェネツィア

  8時半頃、起床。電熱湯沸かし金棒でおかゆさんを作り、たべる。作る途中、棒

に米粒がくっついて焦げたが、まあまあの出来。相変わらず、この棒は凄い威力。

  昨夜のサンドイッチバーに行き、朝食兼昼食を摂る。野菜サラダとハムサンド、

インディアンサンド、揚げパン(中にハムとチーズ)、カプチーノを飲食する。

店員に店の場所を地図に書いてもらう。

 

  ヴァポレットに乗って駅へ戻る。LINE 1は1000リラだと言われて買ったのに

他の男に聞いたら600リラでいいという。1000リラだったら、LINE 2のdiretto

が乗れると言う。迷っていると男がまた言った。でも昨日かおとといか値上げしたかもしれない。  全くどういう仕組みなのかちっとも分からん。ふたりでこれはタダ乗り

出来たねという。

 

  VENEZIA santamaria駅に着く。少し時間が早いので昨日書き損ねた絵葉書を

駅の郵便局のテーブルにて認める。薫は佐藤に、くるみは親戚のおばさんと緑子に。

その郵便局ではもう切手がないと言うので(おかしな話だが)薫が急いで場所を

訊いて買ってくる。投函。

 

  12時55分発の乗り込むが行き先を確かめたら違っていたので前の車両に移動。

結構混んでおり、イタリアの青年2人と相席となる。このうち、1人はあほだと思って

いたらそうだった。金切り声をあげてしゃべっていた。

 その後、男性ひとり、女性とその子供の連れ合いが乗り込んでくる。こどもは

最初ひどくはにかんでいたが、そのうち飽きてしまったのか、がちゃがちゃ、どたばた

と動き回る。(ひっぱたいてやろうかなと思った、やりそうな薫だった)

 

  三時間余りのち、MILANO CENTRALE駅へ。荷物を駅の預かり所に預けて

今夜乗り込む汽車での食事の買い出しと、夕飯を食べに出かける。

地下鉄は全線300リラ。LINEA 1とLINEA 2がある。改札口には切符に日付と番号を押す

機械があり、そこに切符を突っ込んでがちゃんとやり、自分で扉を押して! 中にはいる。つまり、その機械は何らチェック機能を果たしていないのだ。これもタダ乗り

出来てしまう。どうもイタリアという国はこういう隙を、知ってか知らずか見過ごして

いるようだ。

 

  HOTEL DE AMECISの近く、PAMで買い物。ジュース・パン・りんご・スープなど1500円ほど買い込む。その後、以前行ったTRATTORIAへ。7:00からだというが、店内で待たせてもらった。まだ客は私達の他に誰もいず、コックやらボーイやらが薄暗い中で食事をしている。オーダーするためにそれぞれメニューを見ていた。薫が言い出し、そのメニューをメモ帳に写す。くるみは6ヶ国語会話を出し、解読を試みた。

 

 結局、にんにくのスパゲティ2つと、薫はツナと野菜、くるみは一部解読不可能だったが、何かの肉の網焼きを注文した。にんにくのスパゲティは、相変わらずあっさりしていて美味い。しかし麺は少し柔いように思った。

 

  薫のSecondが来た。赤い酢と白い油が来たので、隣に座ったおじさんにどっちをかけるのか聞いたら、白い方をかけるという。これはオリーブ油と思う。

 くるみのは運ばれて来て見たら、ハンバーグだった。そばにレモンが1つ寂しげに添えてあるだけ。解読不可能の箇所はきっとひき肉のことだったのかもしれない。ひどくあっさりしている。でも美味しかった。

 

  2人とも思いの外、あっさりしてお腹がすきそうなので、もう一皿注文することにした。そのとき、薫の隣のおじさんが注文した皿が来た。ほかほかと湯気が立っている美味しそうなそれは、黄色いどろっとしたものの上にマッシュルームか何かきのこと、ソーセージがのっている。2人で見つめていると、くるみの隣のおじさんの注文した皿もそれだった。薫が提案し、その名前を聞いて頼んだ。これをきっかけにして、くるみの隣のおじさんと会話するが、このおじさんはちっとも英語がわからないうえ、自分のイタリア語が通じているとでも思っているのか、勝手にたくさん喋る。黄色いドロドロしたものはマイス(mais)というものであること、これは国際語であること。この料理名は3つの材料名をあらわしたものであることなどをぼそぼそと喋った。薫の隣のおじさんは少し内気なようで、こちらを気にしながらも何も言わなかったが、「ジャポネ?」と聞いたので、「そうだ」と答えるとひどく嬉しそうな顔をした。この間もそうだったが(MILAN.C駅で駐車場のおじさんにMENSAを聞いた時)、「ジャポネ?」と聞いて、それが当たっていると、みなひどく嬉しそうな顔をするのだ。

 

 話がそれたが、これら2人のおじさんとはイタリアには何日いるのか、とか、私は薫の何なのか、とか話をした。薫が写真を撮りたいと言ったら、よく喋る方はしかめっ面をして「No」といい気難しそうに食事を続け、内気な方はすごく緊張してぎこちなく写真に 収まった。

 

8:00近くなったので、2人に挨拶をし、地下鉄に乗って駅へ帰った。イタリア、特にMILANOではそうだが、街のあちこちに国旗の赤と緑を意識したデザインが目につく。観光客用に配る地図もこの地下鉄も赤と緑で持って、表されている。わかりやすい。

 

それからもう一つ感心したのは、(どこでもそうなのではないが) 地下鉄駅の地上へのエスカレーターは朝早くなど人があまり使わないときは止まっており、そのエスカレーターを一段踏むと動き出す。省エネタイプになっていること。前々から、人が乗っていないのにエスカレーターが動いているのはもったいないと思っていたので、よく工夫していると思った。

 

 駅につき、トイレを探したがどこにも見当たらない。歩いている人に聞いても、ノーと言われ困った。薫がそんなはずはないと、待合室で隣の老夫婦に声をかけると、ここにはトイレはないのだという。そんな駅があるはずないと思ったが、仕方ないので列車に乗るまで我慢することにした。この老人もこちらがわからないのに、イタリア語で一生懸命話す。(一体、イタリア人は自国の言葉が誰にでも通じると思っているのだろうか。) 婦人は、「日本人だ」というと、とても感慨深げに「GIAPONE」「GIAPONE」を繰り返していたという。

 

 アムステルダムまでは長旅なので、どこが空いていそうか検討した上、列車が入ってくるや否や、席の確保に走った。運良く、一等(だと思う)のコンパートメント一室を占領し、椅子を引き出して、早速いつもの体勢。なんとか人が入って来ず成功した。このコンパートメントのソファは大きく柔らかで寝心地が良い。(少し頭の方が上がっているのが難点だが)温度も暑すぎず、寒くなく丁度良かったので、今までで一番よく眠ることができた。途中、いつものように5〜6回検札とパスポートチェックに来たが、もう条件反射的に起き、また横になるという繰り返し。10:00過ぎから朝の8:30頃まで実に(車内にしては珍しく)よく眠れた。