Museo Picasso界隈&仮装の女児トリオ  2月13日日曜日 曇り

  9時半起床。誰もが買わない、高くて異常に,やらこい!パンをそそくさと食べて、10時半前に出かける。

 

   Jaime I(ハイメ・ウノ)で降りて、Montcada通りのMuseu textil d’ indumentaria(服飾美術館)にゆく。受付のおっさんは無愛想に、入口は外の階段からと指差した。客少なし。コルセットをはめたような細い腰の貴族女性が来た古めかしい(と映った)ドレスが多く陳列されていた。色が大分褪せているので、見応えがなかった。洋服を着せられたマネキンは首から上がなかった。それがずらりとこちらを向いて並んでいるのがあった。最後の方に来ると、かなり凝ったベルギーの刺繍やらがあり、少し退屈が紛れた。ある部屋は近代に入ってからドレスが飾られ、モナコ王妃が来たという水色地に銀の花びら(セルロイドか何か)をたくさん縫い止めて、表地全部が覆われているのがあった。水鳥が首をすくめたまま、そのまま女性の頭に乗っかったような帽子もあった。その他大きな渦巻きの入ったのやら、大胆なものが多い気がした。中端ころからフランス人やスペイン人の団体が入って来たので、かなり騒々しくなった。

 

  ここを出て、すぐそばのMuseo Picassoに入館。日曜なのでともに無料。この間に続いて、今日は2階を見る。相変わらず、無茶苦茶面白い。見落としていたのは、水着の女性の写真(天然色の)を台紙に貼って、そこに山口瞳みたいな眼鏡の小男を漫画で書き加えたもの。少しスケベっぽく現代風の諧謔があった。前来た時は開いていなかったが、そろそろ観光客が多く出没し出すせいか、Ceramicaを置いた2室を開けていた。ここに、滅法、手の込んだ良い陶器を置いていた。ショーケースの上に、丸い障子窓のようなのがいくつもあき、柔らかい先がCeramicaの上に降りて来ていた。これは別室の陶器を焼く窯を連想させた。見ていると、ますます安東次男の訳した「ピカソの陶器」を読みたくなった。帰ったら是非お茶の水で探してみよう。今日は無料なので、我々のようにあて込んで来ている人も多いようだ。

  その中の子供の一群が館員に注意されても、なおどたばたと走り回り、おしゃべりをするので閉口して日本語で注意した。しかし、余り効き目はなし。2、3度言ってやっと俺だけは避けて走るようになったが。傍のくるみが腹が減ってしんどいというので、写真展を再度覗いてから、Museoを去る。

 

  Montcada通りをPrincesa通りの方に出て、左にしばらく行ったところにあるチューロ屋で、前のようにカスタードクリーム入り揚げドーナツを1つずつ買って、立ち食いして、Leneralitot辺りで食べきってしまった。しかし、まもなくカタルーニャ広場南のCanuda通りにあるプリン屋にふらふらと入ってしまった。縦長のガラスケースに入った数種類のプリンがいつ通っても旨そうに見えるので、思い切って入ったというところもある。ふらふらではなかったかもしれない。ここは細い路地の割に画廊などの小綺麗で品のいい店が並んで、雰囲気のあるところなので、なお気持ちが助長された。一番安い、といっても110ptsもするのだが、プリン2つは注文するつもりで、あと飲み物はボーイに聞いておすすめのChocolate espanolを頼んだ。来てみると、Chocolateは字義どおり、チョコレートを溶かしたようなものが白い陶製のカップに入って出て来て、ナポリで飲んだのを思い出して、しまった、甘いなと思った。プリンはまずまず旨かったが、ともかく値が高すぎる。値ほどではなく、雰囲気料、場所代込みというところ。Chocolateは甘いことは甘いが、見た目より控えてある。シナモンを結構加えてあるところがミソのようだ。Espanolとある由縁。だいぶ散財になったが、気にかかっていたのだから、これで吹っ切れて良いだろう。白い陶製のものの上部にプリンが作ってある大きなのは、180ptsと随分高かった。全体に高めだが、結構客が入っていた。プリンを食べている人はそんなに見なかった。

 

  Galerias Preciadosの日本の脅威展を見るつもりだったが、おそらくFiestaのため休みだった。なぜFiestaだと気づいたかというと、昨日ウサギがやたら売れていて、何か特別の日かなと思っていたところに持って来て、今日は赤ん坊や女優やらに仮装した子供が親に手をひかれて歩いているのを、あちこちで見かけたからだった。

 

  ところで、日本の脅威展を知らせるために、Galariasのショーケースには、日本製のカセットテープやおもちゃ、和食器や和服が陳列されていたが、カセットを除きどれもいい加減な土産物のようなものだったので、唖然とした。

 

  MetroUrquinaona駅辺りに来ると、仮装した3人の少女を見つけた。彼女らは親連れではなく、3人で飛び跳ねるようにして歩いていた。カメラを向けると逃げて撮らせてくれない。そこで隠れながら追いかけて行って、その中の一番べっぴんの女の子がエスカレーターに乗ってちょうど上って来たところを撮った。驚いたような、笑ったような顔をしていた。この子は白っぽいダンサーのような服を着て、目にはシャドーを入れていた。サイドにはパンティのあたりまでスリットが入っていて、その格好で走り回るのだからどうしようもない。随分色気あったなあ。もう一人は赤ん坊の仮装でおしゃぶりをくわえて、そばかすを頬っぺたに書いていた。この子も仲々いい顔だ。

最後の一人は、黒人の混血で色浅黒く、毅然とした顔をしていた。シルクハットにマントという出で立ちで、ショーマンの仮装になっている。皆スタイルもよく似合っていると思った。改札口手前でつかまえて、今度は撮らせてくれる?と聞くと、べっぴんの子が「Jo()?」と言ったので、みんなと指さすと、「Tres(3人だって)」と言いながら、ずらりと横に並んで、驚いたことに慣れた仕草でポーズを撮った。黒人の子はマントをさっと開いて見せた。子供とはいえ、肝が座った奴らだ。彼女らが撮られる気になったのは、傍のおっさんが「撮らせてあげなさい」と言ってくれたためらしい。Alfonso Xで彼女たちも降りたが、どこかで見失ってしまった。

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仮装の娘っ子トリオ in Barcelona

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地下エスカレータから現れた仮装女子


 

  Metroエスカレーターを上ると、また、別の仮装した子供を親たちが囲んで記念撮影やらをしていた。くるみによると、「七五三みたい」。

部屋に帰り、俺はスペイン語とにらめっこをしている間、くるみがシャンピニオン入りスパゲッティを作った。ソースを作りかけてから、スパゲッティが殆どなく、タジャリンしかないことに気づいたらしい。仕様が無い。きしめんのようなタジャりんを使う。せっかくうまくソースを作ったのにと、Cockは嘆いていた。しかし、食べてみると、そう難なく美味しかった。作り方は先述したので略すが、ポイントは豊富なバターと知るべし。

 

  食後はGITANOSPASTAの翻訳作業を続ける。夕方になって、俺だけで、昨日炒めて取っておいた具で、インスタントパエージャを作る。味付けはまともだと感じたが、やはり作り置きのせいかあまりうまくなかった。特に失敗したのは、一緒に米も昨日洗ってしまっていたことだ。水が浸み、ひびが入っていた。これをパエージャに入れると、味が落ちているだけでなく、パラパラと細かく砕けて、味気ないこと甚だしい。マグレブ地方(アフリカ北部)のクスクスに使う粟つぶのようになってしまった。教訓❶米は調理前に水にさらすこと。❷料理材料は極力作り置きをせぬこと。特に勢いを重視するものや、味の微妙なものに作り置きの材料を使ったらてきめんである。夢々避けること。材料が死んでしまう。

がっかりして、なぐさめもあり、量が少なかったこともあって、イカの墨煮を温め直したのと、緑オリーブを食べ、赤vinoを飲む。

墨煮の作り方は前に記したと思うので、簡易にして、Sepiaの解体についてその要所を書く。

  • 作り方◆
  1. 多めのオリーブ油でにんにく、唐辛子(干したの)を炒める。
  2. にんにくが色づいてきたら、Sepiaを入れて炒める。
  3. 軽く炒まったら、白vinoをドボドボと注ぎ、しばらく強火で煮込む。酒臭さが飛んだら、とろ火で煮続けて、墨が自身になじんできたら、食べてよし。

 

  • 解体のポイント◆
  1. 胴体と足に切り分け、Sepiaの足をスカートのように捲り上げるとあるでっぱった口をしっかりつまんでむしり取る。ぐっとつまむと小さな軟骨のようなものをプリッと飛び出して来る。
  2. 胴体の中に、皮1枚隔てて、イカの船(主骨)が入っているので、皮を少しやぶって、それを引っ張り出す。ビニール袋を切る要領で、端をピッと切ってから、取り出せるだけ破れ目を広げる。
  3. 船をとったイカの胴体に1箇所縦に切れ目を入れ、そこから墨袋を取り出し、鍋に入れる段階で、それを破ってから入れる。今回は1杯、墨袋がくっついて破れぬままのがいた。
  4. これでおしまいだが、姿煮の場合は足と胴を切り離さず、胴の切れ目から墨袋をとり、足の間から凸を取って煮ればいい。バラでよければ胴をまたいくつかに切った方が味が染みて美味しいだろう。

 

そのうちに、くたびれて寝てしまったとさ。

 

追記〉

夕食後、何度も(5回か?)間違い電話がかかってきたので、いい加減に腹を立てて、2度受付に文句を言いに行った。2度目に受付のおっさんは部屋に入り電話を見て、こちらは辞書を使いながら事情を伝えた。この体の大きい熊のような頑迷なおっさんは飲み込みが悪かったが、やっとわかったらしく、いろいろいじるふりをした(そうとしか見えない)上で、roto(故障)だと言った。俺がロトかというと、いやロトじゃない。ゥロトだと2度目は巻き舌で発音してみせよった。それで一応明日Senor(元締め)に伝えることにしておさまる。くるみ曰く、スペインでは考えられる故障という故障が次から次へと起こる。