10時半ごろ起床。昨日やりっぱなしにしたまま寝たのを、薫が片付けてのち朝食。昨日といい、今日といい、やけに寒い。遠足を1日延期したため、丸パンが5つと食パンが1/2本残っている。丸パンをトーストに、もう一方は乾かしてsopa de ajoに使うつもり。しかし、丸パンは粘りがあるため、あまりトーストに向かないと薫が言う。お腹に重いのだ。ジャムも残り少なくもそもそする朝食だった。
朝食後は、薫の散髪をする。この間、自分の髪を切って少しコツを(というか、切る手順を)考えついたので、それに従い、眉毛切り用の小ハサミにて挑む。でもやはり、散髪屋さんのように一筋の乱れもなく綺麗に仕上げるには「くし」が大きな役割を果たしているようだ。くるみも何回かやるうちには上手くなるのだろうか。パコのカセットを聴きながら、一生懸命散髪していたら、終わったのは3:30過ぎだったので参った。3時間余りもやっていたなんて。お腹がすいたので、薫は急いで風呂に入り、くるみ掃除。この後、昼食を薫が担当。そうそう、散髪をするとき、切った髪の毛が服についてはたまらぬと、薫はTシャツの上からカッパを着、雨用ズボンを履き、襟のところはゴミ捨て用の黒いビニール袋を巻いて洗濯バサミで止めた。そのため、毛は入らなかったが、ズボン他、蒸れたような匂いがして困っていたようだった。
《ジョルディとの会話》
買い物の帰りに、ジョルディに質問。
- パコデルシアはヒターノか?について。
パコデルシアはヒターノではなく、エスパニョールだということ。
ギター弾きにはヒターノはいず、歌い手にはいるらしいこと。
- バルセロナにはたくさんのヒターノがいるか?について。
あまりいない。ヒターノはスペインの各地を転々と動き回っている。アンダルシア・グラナダにはより多くのヒターノがいる。
- コルドバのカセットテープをどこで買ったらいいか?
エルコルテイングレスにたくさんある、と彼は答えたが、薫がなかった、と言ったら、グラナダのはあるが、コルドバのはないかもしれないとのこと。
カタラン人はフラメンコが好きでない。でも自分はカタラン人だが、フラメンコがとても好きだ、という。
昼食はカルボナーラ。薫流のほうを。たまごうどんのようにつるつるとして仲々美味しい。薫はこれでもまだ足らず、sopa de ajoを作り食す。カルボナーラといい、sopa de ajoといい、spagetti aglio olioといい、実に簡単で美味しい料理を覚えたものだ。これは旅行の大きな功績だと思う。食後に喉が渇いたと言ってオレンジ2個平らげる。寒いのでcalefaccionをつけているためだ。思いの外、時間がなくなってしまったが、少し本を訳す。それから足りないもの(食塩と桃ジャム)を買いに、坂下のEuropeというスーパーへ出かける。今日の受付はジョルディで、また例の可愛い女性と友達、そして子供がいた。薫はまた間違えてBuenos diasと言って友達にBuenas tardes と直されてしまった。
スーパーでは桃ジャムの缶詰(Eva製)があったので、これと塩、安いトイレットペーパーを購入。ここのレジの女性はどの人も感じが良い。(あたりが柔らかい) 帰りがけ、薫がジョルディにパコデルシアはヒターノがどうか聞いてみようよと言い出して、質問したのが前ページのもの。バルセロナにもたくさんのヒターノを見かけるのに、少しそれを否定している気配があったのはどうしてか。もしかしたら、この地では「ヒターノ」という言葉は禁句なのではないかしら。ともかく、少し意外な情報(カタランの人はフラメンコが好きでないこと)も得て、部屋に戻る。ここカタルーニャが特別、スペインの中でも独立的な考えをしているから、フラメンコを自分たちのものでないと感ずるのだろうか。また少し訳を続けた後、夕食にかかる。とは言っても、スープは昼の余りがあるし、オムレツのソースもできているので、作ったのはオムレツとキャベツサラダのみ。以下は夕食の内容と反省・感想。
《Sopa de ajo》
塩加減少し辛い気もするが、これはピメントンピカンテのせいも少しあるだろう。卵を入れるとちょうどよくなるようだ。でもパンはよく煮られて麩のようになっていて美味しい。
《オムレツ》
《キャベツサラダ》
いつもやっているソーセージサラダ。だが今回、キャベツがとても固いうえ、太く長く線切りにしてしまったので、口の中であちこちトゲのように刺さって食べにくかった。キャベツで怪我したなんて聞いたことないよ。これはきっと煮て食べるキャベツで生食用は別なのではないだろうか。この間のは美味しかったのに。それから固いときは、いつもよりなおさら細く小さく線切りにすべし。ドレッシングにつけてもなお、キャベツはとがったまま。あちこちを向いて寝癖のついた髪の毛のようである。まいったなあ。
食事のとき、グラナダで見たフラメンコの話になった。確か、薫は「仲々よかった、結構上手かったよ」と言っていた筈だったのに、今日は中に出てきた小さいおばはんが正月のコマみたいだったと言うのである。そういえば、フラメンコは妙齢の女性が艶かしくは激しく踊るもんだ、と思っていたのに、なんと本場も本場、グラナダのサクロモンテでは、下手な風呂屋のペンキ絵のような背景のついたおそろしく狭い舞台(単に「台」というかんじだが)の上で、正月のコマのように太った中年のおばはんが練習着のようなので踊るのだから、考えてみるとずいぶんギャップがあるもんだ。彼女ら踊り手は3人で、1人はコマ、もう1人は牛、そしてあとひとりのミドルティーンの女の子だけが締まった身体つきをしていたが、彼女もまた色気という点でいまいちだったような気もする。でも、土くさいフラメンコというのはこういうもんなのかな。