お洒落忘れぬ公設市場の売り手の奥さんたち 1月26日水曜日

 10時起床。朝食。11時過ぎ、市場に出発。最近いつも薄い青空なのだが、霧のようなものがかかって、遠くがぼんやり見える。今日は買い物の声かけ係を薫にせよ、という。スムーズに市場について、スムーズに買い物をして、スムーズに帰った。Merluzaを切ってもらうのに、くるみが「コルタール」と言った。Fideus100g, Pimenton(no picante)30g31ptsというのは安かった。引き換え、Merluza780pts/kgと意外と高く、290ptsで買った。買ってはいないが、DESPOJO(排物骨類を扱う)で、べっぴんの奥さんが暇そうに立っていたのが、くるみには不思議に写ったらしい。

 

 金髪をパーマで後ろにかきあげ、きちんと化粧をした人が確かに多い。臓物屋だと顔や身なりまで臓物屋になってしまうのと違う。これはこれ、あれはあれ、という風に考えている気がする。いや、違うか。仕事場でも身繕いを忘れないという気持ちの問題か。じゃがいもはこれまで専門の店で買っていたが、ここのは古くやらこく、包丁で剥きにくいことがあり、他の色々なものを置く八百屋でも良いものがあるようだ。帰りがけに、くるみの欲望が亢進して、manzana(リンゴ)のパイを2個買った。

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かわいい魚屋さん

 

本日の昼食〉

  • セロリのスープ
  • バカラウのクリームコロッケ

セロリのスープは、鳥のスープにサイの目に切ったセロリ、人参、玉ねぎを入れて煮たものに、塩コショー・刻みパセリを入れたもの。くるみが思うところでは、鶏肉とセロリという組み合わせは良いが、スープには牛肉のスープの方が相性がいいように思う。鳥スープはコク出しに良いが、そのコクも意外に幅が狭いようだ。また、コクが出ても味はでにくいので「コク」という一方向のみをカバーするだけで、その他の味覚、酸っぱさとは甘さとかは他のもので補わねばならない。「味」はそれぞれの味覚の分野の釣り合いがとれてこそ「旨い」ものになるので、スープに鳥を使う場合はセロリに釣り合う強い味を入れねばならない。とにかく無難にはおさまった。バカラウのクリームコロッケはValenciaPEMAで食べたものだと思って買ったのだが、残念乍ら、クリームソースにバカラウが混じっている別種のコロッケだった。塩が聞き過ぎていて、辛いのが難。今度はバカラウの塩漬けを買ってきて、PEMAの味を再現してみたい。

昼食後、薫は本を読み乍ら昼寝、くるみは昨日写してきたAGUTのメニューを訳す。訳してみると、意外に簡単なものが多い。しかしそれぞれに工夫があるのだろうか。頼んでみないとわからぬ。4時になったので薫を起こしてから、夕食の仕度にかかる。今晩はsopa de pescado。昨日のを再現してみようというわけだ。そのためにメルルーサも買ってきた。NUEVO RESTAURANTEのはイカでダシをとっていたが、AGUTのにはイカは入っていなかった。以下に調理の過程を記す。

 

Sopa de pescadores

材料;メルルーサ300g/カップ4/鳥だし汁カップ2/牛だし汁カップ1杯程度/玉ねぎ半分/トマト半分ピメントン大さじ1/ニンニク2かけ/パセリ/古くなったパン100g程度/塩コショー・ワイン/ 鶏皮少々

 

作り方;①カップ4杯の水に骨と皮をとって小さく切ったメルルーサを入れ煮る。

    ②しばらく煮立てたあと、ピメントン大さじ1を入れ、更に煮てみたが全然味がないので、甘味を出すため、玉ねぎ半分をみじん切りにしたものを加え、トマト皮・種無しのみじん切りも加える。

    ③これでもコクが出ないので、鶏の出し汁を少しずつ足し、牛出し汁も入れて煮続け、そのあと固くなったパンを入れ、かき混ぜてよくほぐした。

④薫がSopaの本を訳してSopa de pescadoの項にニンニクが入っていると言ったので、くるみもきざみニンニク2個分を放り込み、ついでにパセリも入れた。

⑤これでもなお且つピンとこないので、スープをかき混ぜながら煮詰め、鶏・牛汁を加えてコクを出そうと努めた。牛だし汁は牛骨つき肉にパセリ・セロリ・玉ねぎ・ベイリーフを加えてとったもの。旨みを出すため、ワインをカップ半分程注ぐ。

⑥鶏皮も放り込み、塩・コショーで調味、あとから入れたパンがほぐれるのを待つ。ここで少し残しておいたメルルーサの骨、残りの身も加え煮た。

⑦全体のオレンジ色が薄くなり、味が均等になって煮詰まったところでservirする。

 

 気づいたこと;・メルルーサだけでは味が淡白すぎてスープにならない。AGUTではゴタゴタしたスープの中にあまり柔らかくなっていない鶏皮を発見したが、本にあるように魚のスープといっても肉の助けを借りてコク出しをっしているのではないか。この場合、鶏でもよいが、先にも書いたように牛の方が深みのある味で広い範囲をカバーできるような気がする。しかし、1platoでもあるように材料に高価なものを使っていないと思えるので、やはり骨か骨つきあばらであろう。

  • 出しがとれ味も決まったところでメルルーサを入れる。そうでないと、パンをかき混ぜるのと一緒にメルルーサも粉々になってしまう。
  • 味の点ではニンニクとパセリが味の引き立て役として大きな位置を占めているような気がする。ピメントンで香りづけされるのかと思ったが、色つけの他はどんな効果をもたらしているのか今のところ判然としない。
  • パンはあとでかき混ぜるとしても一応細かくほぐしてから入れた方がよい。また、これは煮れば煮るほど味が馴染み、別の風味を引き出すようなので、とことん煮るべし。AGUTのもけっこう煮てクタクタになっていたが、まだパンの形を留めていたのは2回に分けて入れたものか。
  • メルルーサの骨はだしとりに使い、あとで引き上げるのかもしれぬ。
  • 結局、できあがりは何とか形になったが、いまひとつ何者か足りない気がする。それは何かの香辛料であり、何かの味である。そのひとつがない為に、これはこれで旨いが、いまいち単調な味になっているようだ。今後研究の余地あり。

 

このあと、薫とくるみの協力作業でカルボナーラを作る。

 

Spagetti Carbonara

材料;スパゲティ220-230g/1/バター大さじ1強/ベーコン3/塩・コショー・パセリ・チーズ

作り方;①ベーコンは油をひかないフライパンにてカリカリに炒める。いつもはこげつきを恐れて油をひいていたが、ここの電寝る気だと炒め物には火力が弱いので仲々炒まらぬ。そこで今日はベーコン自らの油によって炒めてみることにしたわけだ。これは成功。何の混じりものなしに自ずの油でカリカリに炒めることができた。ベーコンは少し大きめの四角に切った方がカリカリしたかんじを出せるとこのこと。これに塩を振って置いておく。

②卵1個はよくほぐしておき、チーズはおろしておく。パセリはみじん切り。

③スパゲティを少———し固めに茹で、水気を切ってから鍋に戻し、バター・ベーコン(油も)、卵を入れてよくかき混ぜ、上からコショーをふって更に混ぜる。

④皿に盛り、チーズ・パセリを振って食す。

 

気づいたところ;これは今までのうちで一番旨いカルボナーラだった。やはりベーコンをカリカリにするところがポイントのようだ。電熱器の関係で、麺と茹でるのとベーコンを炒めるのとが同時にできないのが少し惜しい。スパゲティに対するベーコンの割合も多すぎず少なからずちょうどいいように思えた。

 

これにROSADO(100pts)をつけて夕食を終えた。ROSADO(100pts)は大きく違う点なし。食べ物と一緒だからわからないのかもしれないが。酸味・甘味とも釣り合いよし。旨い。少し酔ったのでぼんやりしたあと、薫が片付け物をして、コーヒーを入れてくれた。買ってきたりんごのパイのうち1つをくるみは3:45に食べたのだが、日記を書いたら半分くれるというので今書いているのだ。辞退して1/4くれといったら、きっちり1/4きた。iSolo Quarto!

これからシャワーを浴びて早々に寝るつもり。