11月24日 コルドバ ぶらぶら

  8:00ごろ目覚める。列車の汽笛の音がやかましい。8:20ごろ、ベッドを畳んでしばらく談笑。

 

  コルドバに着く。朝早いせいか、まだうすら寒い。地図を頼りにinfomacionを目指す。書いてあるはずのところにないのでうろうろしていると、察したのか、建物の中から出てきたおっさんが道を教えてくれた。以降2〜3度、うろついた後、やはり教えてくれるおっさんたちに助けられ、infomacionにたどり着く。ベスト1と続く3つの宿を紹介してくれた。

 

  ベスト1のところに行ってみると、玄関から青みがかったパティオが見え、なかなか雰囲気がある。シャワーなし600ptsで決まり。CH CAMAS。

  門を入り、すぐ右手の部屋。石畳の道から、中が覗ける。鉄格子の模様も中庭の作りもおもしろいので、しげしげと見る。2〜3階にも上がらせてもらった。パティオの脇にボティーホが置いてあった。飲めるのかと聞くと、ばあさんが胸にたらしながら飲んでみせた。冷えるのかと聞くと冷えるのだという。ボティーホの表面は湿っていて、話通り、表面から気化熱を奪っていることがわかる。底には皿が敷いてあって、少し水が溜まっていた。そこから染み出したものなのだろうか。2つの穴の大きい方には、プラスチック製の網がかぶせてあった。いつもは植物の水差しに使っているようだ。

 

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パティオに屹立するコルドヴァの老婦人

  マドレーヌとミルクで軽く朝食。

   まず、Mazguitaにゆく。その庭にはオレンジが列をなして植えられている。地面には石が縦に埋め込まれ、模様になっている。ぐるりと回ってから、建物の中に入る。入場料は1人100ptsとやや高い。写真は15ptsで許可。ここから先は言葉では書けないが、ともかく迷宮入りである。

  ユダヤ人街の土産物屋を冷やかしてから、食堂を探す。長らく見つからず。学生らしき女の子に3〜400ptsのbueno restauranteを、と行って紹介してもらう。直々にレストランまで連れて行ってくれた。彼女がフランス語なら話せるのだが、英語は全然だそうだ。

  CAFETERIA MILANといってビルの奥まった一角にある。これではちょっと見つからない。くるみは265pts(escalope,bacarao,calramati, ensalad)、薫は240pts(escalope,tortella,espanol,ensalad)の皿を頼み、vinoをつける。vinoとだけいうとシェリー酒が出てきた。パンは中が綿のように柔らかく、なお、しっとりとしている。vinoとパンで食べていると、となりでごちゃごちゃしている。ふとみると、奇怪な子供が手を出しているので、「何や!?」と言うと、俺の背中を叩いて走り去った。どうもジプシーの子らしい。くるみによると頭は青く丸刈りだったそうだ。メインディッシュを食べている時もぶらぶら、風彩のあがらぬ青年が何やら金をせびりにきた。No graciasといって断る。スペインオムレツにはじゃがいもが入り、にんにくで味付けされ、分厚いお好み焼きのような形をしていた。旨し。たらのフライも身が新しく揚げたてで旨かった。escalopeとはカツのことであった。勘定を払って表に出る。

 

 

  公園にゆき、日記を書く。宿は昼間にでも暗いため也。昼休みか、小学校の女生徒はたむをしていて我々を見てあちらこちらでチナチナと囁き合っていた。あまりにうるさい子に「何やこりゃあ〜!」というと悲鳴を上げてすっとんでいった。くるみが日記を描いていても最初は遠巻きだったが、次第に入れ替わり立ち替わり、チナチナと聞きに来る。「ノー、ハポネッセ」というと「シィー、ハポネッセ」と感心したようにうなずいたりしていた。その次に来るときは別の子がハポネッセ?と聞きに来る。1人が日記を覗き込むと、みんなして覗き込んで、いろいろ質問する。昼休みが終わったのか、駆け出して学校に戻っていった。

 

  噴水(公園中央)の彫刻は、なまずシーラカンスを合わせたような魚だった。この魚はマルセイユの噴水でも見た。鳩はほとんど白。たまに灰色との混血でまだらになったのがいる。ジプシーかさもなくとも貧しそうなばあさんが自分の食べていたパンをちぎって鳩にやっていた。

 

  地下のBervicioに入り、4時過ぎinfomacionに着く。別に良いレストランを紹介してもらうつもりだったが、5:00まで休み。諦めて歩いて探すことにした、疲れていたのでいったん宿に戻り、夕方寝をする。気がつくと7:00。窓の外からピアノや木管楽器の音がにぎやかだった。道を隔てて隣の建物は学校のクラブ活動か音楽学校か知らないが、ひっきりなしに楽器演奏が聞こえていた。ハノンと別れの曲など。眠かったが、とにかく街に出る。(infomacionはもう閉まっている。)

 

  結構歩くが、うまく見つからず、小ぎれいなBarでビールとタパスを軽く食べる。習慣のようにして、レストラン探しに出たのだが、実は昼の食事が二人とも十分消化されず、夕食は軽くとることにした。

  薫はツナやグリンピースなどの入ったサラダ。くるみはpatate ali oliというポテトににんにくすりおろしとマヨネーズを和えたものを食べる。小さなビスケット1本がそれぞれについてくる。VALENCIAでは気づかなかったが、タパスは長さ10cm横5〜6cmの舟型の皿で来ることがあるのだ。patate ali oliはニンニクが辛いくらいによく効き、つまみとしてもってこいの味で旨かった。ここのビールは薄い黄色で日本のビールによく似た味をしていた。

 

  くるみはこれで食欲を刺激され、しばらく歩いたのちMILANに舞い戻る。vino tinto2杯。スペインオムレツ1人前(パン)。横のおっさんが飲んでいるブランデーを見て、薫が「旨そうやなあ」といって真似して頼む。しばらくアルコール度の高いものを飲んでいないのできついが、香りは高く旨し。vinoと値はあまり変わらないので、酒飲みにはブランデーの方が効果的であろう。店のおっさんはコニャックだといった。これに比べてvino tintoはまずかった。瓶から注いだのでそんなはずはないのだが、まるで水で薄められているようだった。安いワインのサラッとした感じとは別物だ。jeresより高いのに何故こうなのか。めずらしい。横のおっさんにこの店のことを聞く。この店は他の店より安く食べられる。他の店だと5〜600ptsはとるという。3B(トレべ)なのだ。日本では東京ー大阪を速い電車が走っていると言った。太っていて商店主のようだが、会社員だという。たばこを勧めてくれたので、悪いので1本吸った。おっさんはコーヒーにブランデーをとって入れていた。他にもケーキとミルクで食べている人もいたりして、薫が「酒の飲めない人はこういうやり方もあるなー、いいなあ」といった。おっさんは一足先に店を出た。良いご旅行を、といって出ていった。我々も勘定を済ませて店を出ようとしたが、明細が知りたくて年長のボーイにいろいろ行った挙句やっと教えてもらった。

 

 

  宿に帰る。薫は太っちょお肉を食べ、jeresを飲んでオレンジを食べ、眠りについた。この夜、薫は斉藤さんからくるみさんにもっと生命科学のことを勉強させなさい、と言われた夢を見た。生命科学といっても具体的に役立つことのようだった。この夜、くるみも夢を見た。夜電気を消してから、ピカソの話。死ぬ話など話していたので、それに関連する夢を見たらしい。もう50年か100年したら死ぬんやなあ。例外で500年生きてる人はおらんもんなあ。これだけは平等やなあ。 おしまい。