10月29日 お釣のバンドエイド

  久々の大喰いとアルコールのとりすぎで胃が重く頭が痛くてなかなか熟睡できなかったのと、ヒーターがきかず寒かったのでその調節に苦慮したのとで、疲れたまま、朝を迎えた。

 

  突然、「Buon Giorno」という大声とともにコンパートメントの灯りがついたので、くるみが起き、ユーレイルパスを見せたら、駅員ではなかった。席をつめろという。あまりの無作法に薫は腹を立てた。「ずうずうしいなあ、人が寝てるところに入って来て!だからみんなに嫌われるんだ!」と罵りながら、席をつめた。時計を見たら5:00だった。そのまま憮然として、フィレンツェに着いた。

 

  疲れたので駅のインフォメイションで15000〜17000リラ朝食なしで頼んだら、朝食付きで20500リラでどうか、と言われた。この間のパターンである。朝食なしでもっと安い宿を、と言ったら、15500リラでこの間泊まったLOCANDA PIAZZUOLLOを再度紹介された。紹介料(600リラ)と印紙(500リラ)で1100リラも取られた。相変わらず無愛想で事務的な応対。それにしても、ささいな手続きの中でなぜ500リラもの印紙を使うのか。これもイタリア的か。釣りが間違っていると思って聞いたら、印紙の説明を怒ったようにされたのだが、こういう細かい点を不明瞭にしておくのも実にイタリア的で鬱陶しい。

 

  LOCANDAに着くと、部屋を掃除しているので、2:00まで入れぬという。おばさんは、覚えているのかいないのか、ちょこっと笑い顔を見せたきりだった。すぐにくベッドに寝転んで疲れを癒したかったが、仕方ないので、荷物を預け、街に出た。

 

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  サンマルコの美術館に入ったつもりでその隣の教会に入ってしまった。やはりクリスチャンが多いらしく、マリアの像などに見入っている。私たちはベンチでくつろいでいた。美術館とは言っても、全部壁画を公開しているにすぎない。ここはフラ・アンジェリコの受胎告知で有名らしい。どの壁画もどの壁画もイエスの受刑ばかりで、聖書に縁のない我々には到底わからなかった。薫は非常に退屈し、キリスト教関係のものには、もう時間と金を割くまいと思った。

 

 

  途中、美味しそうなサンドイッチを売るBarで2個買って帰り、宿に戻って食べた。夕方、くるみのブーツを選びにまた街に出たが、蚤の市の露天にはやはり安物の靴が多く、デザインが平凡な割に安くない。2つほど候補が上がったが、決める意志力が弱くなっていたので、明日にまわすことにした。

昼間のBarでサンドイッチ(PANINI)とカプチーニを飲食し宿に戻った。

 

 

  そういえば、とてつもなくしょうもない1日の中で、ひとつだけおかしなことがあった。Coopに買い物に行き、石鹸590リラを買い求め、600リラ払ったら、お釣りをくれずにバンドエイドを1枚よこすのだった。薫がびっくりしてNo,noと言って聞き返すと、10リラがないので、バンドエイドで返すと言っているらしかった。バンドエイドなど1枚もらっても仕方ないので、細かい金を探していたら、やっと釣りが返ってきた。この一事実で、ますますイタリア的な要素が濃縮された。

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  今日絵に描くようなおもしろいことが何もないのは、厳しい夜行で及び飲み疲れで体力と器量が大変衰えているためだった。書きながら疲れている。身体を自分自分で拭いて眠ろう。

 

《サンドイッチの中身》

①蛸の足・赤ピーマン・玉ねぎ・セロリ・パセリ・オリーブ油・ビネガー・にんじん

②鶏肉・赤ピーマン・塩漬けオリーブ・小玉ねぎ・にんじん・オリーブ油・ビネガー

③ソーセージ薄切り・玉ねぎ・赤ピーマン・キャベツ・にんじん・オリーブ油・ビネガー・オリーブの実

この他オムレツ(2〜3種ある)の入ったもの。チーズとハム、ゆで卵と野菜などのサンドイッチがあった。