10月11日 ツルツルのピサの斜塔の、大理石

  朝は小さなパンだった。それにミルクコーヒー風のカプチーノが出た。

 

  ARNO川河畔を歩き、ミケランジェロの丘にゆく。途中、ベッチオという宝石店の並ぶところを見てまわった。市街を食堂をさがして回ったが、安くて良さそうなものはない。

  結局鉄道員に聞き聞き、鉄道駅のMENSAに入った。

2人でほぼ2000円、肉料理はハンバーグ・煮込みともまずまず。すりつぶしたポテトとミルクをミキサーにかけたものは目新しかった。これは作ってみる価値あり。スパゲッティはふやけていた。ワイン飲んだせいで2人ともだるくなる。

  

何とかPISA行きの列車に乗り込む。一杯飲んだせいか、斜塔はずいぶんと傾いていた。最上部を除いて手すりがないので外に出ると怖い。大理石で出来ているところが多い。かなり珍しく楽しめた。傾いた大理石の細い廊下が、かなりの高さで円周を描いているようなもので、リアルに恐ろしい。手摺が何でないの…ツルッ、ドッカーンで落下してしまう。命はない。薫が内側、くるみが外気味にそろりそろりと擦り足を進める他なかった。

全ては自己責任でどうぞご勝手にと言う訳だろう。手摺なんて不恰好なもん、我がイタリアでつけられますか、ってんだ。ある意味、リアル保存。気を付けるのは、お前の方だ。

いっそ清々しい思い切りの良さだ。

 

  帰りはシンガポールの母娘と一緒になった。あまりFIRENZEを知らんでか晩めしを一緒にとりたいという。昨日のBarに入った。

物を買うにつけ、この娘はかなり積極的、しっかり者だ。彼らと別れて宿に帰る前、洋ナシジュースを買った。

 

  薫は身体を拭いて眠る。くるみはやっこときいこに葉書を書いた。意外に順調な1日で書くことが少ない。

 

〈雑感〉

*ハンバーグはナツメグではなく、ニンニクとレモンがよくきいていた。

*イタリアでも、やはり安食堂ではスパゲティもうどんのようだ。

*イタリアの朝食に出る小さなかたいパン(ラスク)は、全然お腹にたまらない。

PISA Stn.から斜塔を往復しているバスを行き帰りタダ乗りしてしまった。チェック機能がないのは不思議。

*宿のおばさんに今日の泊まり分を朝食抜きにして値切ろうとしたが、ダメだった。インフォメイションで朝食付2泊と書いてあるからという。もっともなので従う。従って、明日の朝もまた、小さなパンである。

MENSAにはおばさん、若い女の子など色々来ていたが、ああいうセルフサービスの店はついたくさん取らねばいけないような気になってしまうので、知らぬうちに高くなる。

私はニンニクとオリーブ油だけのスパゲティが好きだ。

ピサの斜塔では、薫がわあわあ騒いでいた。他の外国人旅行者も同じく怖いので、同調して笑っていた。

洋梨ジュースはネクターのようで甘い。

シンガポールの女の子は勇敢だ。母もまた然り。この、何かと理屈をつけて金をとる西洋で、エスプレッソにお湯を注いでもらい、ティーポットに2杯目のお湯をもらう。知らないから強いのか、知っていても臆さないのか。強いと思う。

*FIRENZEは物価が安いと聞いていたが、料理屋に限っては(私の知るところでは)まず、適当なものがない。もっと努力すべきだ。